聖書に以下の事を学ぶ。
アブラムは天命を受け旅立った後、妻のサライと甥のロトを連れていたが、あまりにも財産が多く、彼らが一緒に住むには十分な土地ではなかった。アブラムの家畜を飼う者とロトの家畜を飼う者との間で争いが起きたのである。そこでアブラムはロトに次のような提案をする。
「私たちは親類同士だ。私とあなたの間ではもちろん、お互いの羊飼いの間でも争うのはやめよう。あなたの前にはいくらでも土地があるのだから、ここで別れようではないか。あなたが左に行くなら、私は右に行こう。あなたが右に行くなら、私は左に行こう。」
それで彼らは左右に分かれて進むのだが、ロトが選んだソドムでは争いがあり、ロトの財産は奪われ、ロト本人も連れ去られてしまった。
これを知らされたアブラムは、訓練を受けた者318名を召集し、敵を襲い、ロトと財産を取り戻した。一見、平和を愛するようなアブラムではあったが、親族を守る勇敢さも持ち合わせていた。この時に用いた戦術が夜襲だった。
さて、この話から二つの教訓がある。
まずは大組織になった場合には、新規事業に進出するなり、社内のリソースを別のフィールドで活かすこと。そうしておけば、一つの事業で大失敗を犯しても、別の事業が救世主になりえるということだ。
当然のこと、小さな組織で複数の事業を行うことは得策ではない。小さな組織の場合には、社内リソースが限られているから、選択と集中は必要だ。
もう一つは、アブラムは勇敢ではあるが、戦争のプロとは思えない。そこで、最善策を取る。それが、敵が準備のできていない時に攻める、つまり夜襲である。こういった最善策を取れるところがプロではないかとの見方もあるが、正々堂々と戦っては勝てない可能性を想定して、相手の弱点を攻めるのは上策といえる。
[教訓]
〇多角化は事業リスクを下げる。
〇自分に力がないと思ったら、相手に勝つためには弱点を攻めるのが上策。