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効果的な営業戦術フット・イン・ザ・ドア

聖書に以下の事を学ぶ。

神様がソドムを滅ぼすことにしたが、それをアブラムが止めようと試みた。そのやりとりは次の通りである。

(ア)「正しい者を悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。あの町に正しいものが50人いるとしたら町を赦さないのですか。」

(神)「・・・50にいたら町全部を赦そう。」

(ア)「正しい者が5人足りないかもしれません。5人足りないために町を滅ぼしますか。」

(神)「45人いれば滅ぼさない。」

(ア)「40人しかいないかもしれません。」

(神)「40人いれば滅ぼさない。」

(ア)「もう少し言わせてください。もしかすると30人しか正しい者がいないかもしれません。」

(神)「30人いれば滅ぼさない。」

(ア)「もしかすると20人しかいないかもしれません。」

(神)「20人いれば滅ぼさない。」

(ア)「怒らずにもう一度言わせてください。10人しかいないかもしれません。」

(神)「10人いれば滅ぼさない。」

アブラムが最初に難しい条件を、少しづつ下げていくことで、とうとう正しい者が10人いれば滅ぼさないという神様の約束を取り付けてしまった。

アブラムは、マーケティング用語で「フット・イン・ザ・ドア」を用いて神様を説得した。これは小さな要求を繰り返して、大きな要求を達成するということだ。最初から10人正しい者がいたら町を滅ぼすのをやめてください。とお願いしていたら神様もOKはしなかっただろう。

フット・イン・ザ・ドアとは、まず営業マンが、ドアベルを鳴らして、中の人がドアを開けたら、自分の足でドアが閉まるのを抑えてしまうというテクニックからきている。人間はいきなり大きな要求を突きつけると拒否したくなる。顔を見せると警戒も緩む。

また、服を買いに来た客に、「今日は何をお探しですか?」と尋ねて、相手の口からコミットを取る、あるいは「お客様に似合いそうなものを持ってきましょうか?」と尋ねて、探しているといった手前断れない。こんな状況を作り出すことで、販売に結び付けてしまうテクニックだ。

[教訓]

〇最初から顧客には過大な要求をするな。過大な要求をする前に、小さく要求をして承諾させ、次第に大きくして行け。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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