聖書に以下の事を学ぶ。
「異邦人の間では支配者たちが民を支配し、偉い人たちが権力をふるっている。しかしあなた方の間では、そうであってはならない。あなた方の中で一番偉くなりたい人は、皆に使える者になり、一番偉くなりたい者は、皆の僕になりなさい。」
ある会社の組織図はものすごく独特である。普通は代表取締役社長が一番上に来て、その後役職の高いものから上から下に、が当たり前だが、それが逆になっている。つまり代表取締役が一番下なのである。この組織図を拝命したときには、慣れないから、とても作りづらかった。
これを何故かと社長に聞いてみた。従業員に稼がせてもらっているのだから、稼いでいる人たちが一番偉い。管理者は稼いでいる人たちを管理しているだけだからちっとも偉くない、と言っていた。目からうろこだった。ただ、もちろん、管理職の方が給料が高かったことは確かだ。一部の優秀な営業マンを除き。
この方は、ビジネスの仕組みだけを作って、後は若い人たちに任せて、自分は社長室にこもり、いざというときは叱咤激励する。老人だからあまり積極的には動けないということはあっても、その考え方が素晴らしい。その他は、お金を借りる時に連帯保証のハンコが必要だったから、その仕事と、一応営業のためという名目でのゴルフと外部者との飲み。年なのに毎日近く飲めるというのは、逆に凄いと思った。
その話を聞き、自分もそれを実践してみた。いくら管理職と言っても、自分は下っ端の方なので、自分でもものすごく手足は動かしていたものの、部下に相当の権限移譲はしていて、問題がない限りは指示もしない。ほぼルーティンだから、慣れていればいくらでもできる。突発的なことは自分が対応すればいいと思っていた。部下には、困ったときとか、手の足りないときは、自分を上手く使って下さい、と管理職でありながら、部下の真似をしていた。もちろん部下がある程度、業務遂行能力があってこそできる技ではある。部下が良かっただけな気もするが、逆に部下の指示で、「課長、この仕事をお願いします!」と言われて自分が動いた方が、部署は不思議とスムーズに回っていた。
自分は特に偉くなりたかったわけではないが、管理職を預かったため、僕(しもべ)になってみたというわけだ。役職の上の人間が何でもかんでも指示を出していては、部下が育たない。管理者は部署のスケジュール管理とタスク管理だけに徹していた方がいい。指示は自主的に上司に対して、上司を戦力として使いたいときに出させるのだ。
逆さ組織図を見ていると、部下の方が偉く見えてくる。その方が謙虚になっていいのではないか。上司だからと言って威張っていいものではない。部下がいてこその部署なのだから。
[教訓]
〇一番位の高いものこそ、従業員の僕となれ。組織はスムーズに動く。