聖書に以下の事を学ぶ。
「書物はいくら記してもきりがない。
学びすぎは体が疲れる。
全てに耳を傾けて得た結論。
神を畏れ、その戒めを守れ
これこそ人間の全て。」
コヘレトの最後の方にある文章である。コヘレトが知識を求め、知恵を求めた結果。書物に書いてみたところで、結局、終わりがなく、学んで疲れてしまったというのだ。そして、最後にたどり着いた真理は「神を畏れ、その戒めを守れ」ということだった。
宗教としては極めてきれいな終わり方だ。それをビジネスパースン的にどう表現するかというと、「成功法則を信じ、その法則に沿って生きよ」ということではないだろうか。
コヘレトは学問としてのアプローチをとっているが、事業という切り口で考えてみよう。
「書物はいくら記してもきりがない。学びすぎは体が疲れる。」という箇所は、「事業の準備をしてもきりがない。事前準備は疲れる。」と言えるのではないだろうか。
起業を志しても、サラリーマンのぬるま湯に浸かっていた方が絶対的に楽である。何か嫌なことがあっても、新橋で上司の悪口をネタに飲んでいれば、次の日にはモヤモヤとはしているが、いつもの朝がやってくる。飲みすぎなければ二日酔いもない。
それで、自己資金が準備できたら、資金がいくらまで溜まったら、自分が納得のいく物件が見つかったら、といろんな条件を使って、先延ばしを図る。事業を始めるに当たって、事前準備は不可欠だが、しすぎても意味がない。何故ならば、あるタイミングではよい事業でも何年かたってしまうと、競合相手が先に始めていて、ある程度のブランド力を築いてしまう。そこから参入しても、平凡で儲けられずに終わってしまう。
それに、事業は始めたら始めたで、当初思いもつかなかった難問が、次から次へと現れる。これはやってみなければわからないことでもある。やってみなければわからないことを、やる前に全て把握して、それの改善策を準備して、なんて、無理な話だ。さっさと初めてみて失敗をして、それを改善していくしかない。自転車だって、理屈で乗れるようになるわけではない。体で覚えるのだ。何度も転んでひざを擦りむいて。そのうちにスムーズに乗れるようになっていく。
コヘレトの言葉を以下のように書き直してみよう。
「事業の準備をしてもきりがない。
事前準備は疲れる。
色々な人の体験談に耳を傾けて得た結論。
成功法則を信じ、その法則に従って事業をせよ。
これこそビジネスの全て。」
[教訓]
〇事前準備に時間をかけすぎるな。
〇スタートを引き延ばす理由などいらない。まずは取り掛かれ。