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時間がないと嘆くリーダーは部下に権限移譲をせよ

聖書に以下の事を学ぶ。

エトロとは、モーセの姑であったが、モーセの仕事ぶりを見ていた。モーセは、座に着いて民をさばき、民は朝から晩まで待って並んでいた。何でも一人でやっているところを見て、以下のように助言した。

「あなたのやり方はよくない。あなた自身も、あなたを訪ねてくる民もきっと疲れ果ててしまうだろう。このやり方ではあなたの荷が重すぎて、一人では負いきれないからだ。・・・神があなたと共におられるように、あなたが民に代わって神の前に立って事件について神に述べ、彼らに掟と指示を示して、彼らの歩むべき道となすべきことを教えなさい。あなたは民全員の中から、神を恐れる有能な人で、不正な利得を憎み、信頼に値する人物を選び、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長として民の上に立ちなさい。平素は彼らに民を裁かせ、大きな事件があった時だけ、あなたのもとに持ってこさせる。小さな事件は彼ら自身で裁かせ、あなたの負担を軽くし、あなたはともに彼らに分担させなさい。もし、あなたがこのやり方を実行し、神があなたに命令を与えて下さるならば、あなたは任に堪えることができ、この民も皆、安心して自分のところへ帰ることができよう。」

要するに組織の権限移譲である。大組織を束ねるのに、全てのことをトップが把握するのは困難であり、ましてや全部一人で作業をこなすことは不可能である。そこで、通常の組織は、係長、課長、部長といったようにミドルマネジメントがある。エトロはこのミドルマネジメントを示していたと思われる。

トップが疲れてしまっては、いずれ組織も疲れてしまう。だから常にトップがそばで見ているのと同じように、係長、課長、部長を配して、部下を管理させなければならない。「大きな事件があったときに、あなたのもとにもってこさせる」とは、会社組織全体に影響を与える経営判断をすべきときとなる。

会社には出世というシステムがあるが、十人の組織をまとめ上げられてきた人物が、いきなり千人の組織を束ねられるわけがない。それゆえ、出世とは非常に合理的な社内キャリアシステムと言える。

どういった人が適任か、ということまでエトロは述べている。次の言葉に現れている。

「神を恐れる有能な人で、不正な利得を憎み、信頼に値する人物」

ここで「神を恐れる」とは、トップを尊敬する、敬愛しているという意味でとらえておけばよいだろう。「不正な利得を憎み」とは、私利私欲に走らないことである。そして当然極めつけは、あなたが信頼できる人物ということになる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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