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反省のさせ方

シュタインメッツ、レンネンカンプの両艦隊がヤン・ウェンリーの時間差各個撃破戦法の前に連覇されたことは、ラインハルトの自尊心に鋭い一撃を浴びせずにおかなかった。彼が引き立てもし、評価もしている二人の提督が、文字通り手玉にとられたのである。・・・

「卿らには良い勉強にあっただろう。卿らのレベルでは測ることのできない相手がいるのだ。私が卿らに現在の地位を何故与えたか、それをよく考えて一から出直せ」

実はラインハルトはレンネンカンプを更迭してイゼルローン要塞司令官に移し、代わってルッツを呼び寄せようとしたが、秘書官のヒルダに反対されたのである。理由は三つあった。一つは、レンネンカンプを更迭しながらシュタインメッツを留任させれば、更迭された者が不公平感を抱くということ。二つは、既にゾンバルト少将を粛清して一罰百戒を成したのに、ここでまた厳罰を下しては人心を委縮させること。三つは、イゼルローン要塞司令官の職が左遷された者の落ち着き先として軽視される結果になりかねないことである。

(解説)
シュタインメッツにせよ、レンネンカンプにせよ、相手が悪いということなのだが、作戦失敗の責任を取らせる必要がある。そのときにヒルダ曰く、3つの注意点がある。

(a) 二人を反省させなければならない場合
同時に処罰をしなければならない場合、一方が比較して損失が大きいとか、繰り返しミスをしている等であれば不公平感がないが、同じようなミスの場合には、同じ処罰をさせないと、処罰に差が出れば、不公平感がある。人事でその後、やる気が出なくなる時は、不公平感がある場合である。しかもこの不公平感というのは、客観的には公平だと思っても、処罰を受ける方の気持ち、つまり主観も考慮しなければならないから、ちょっと大変だ。組織側としては、客観的に公平であればやむなしとしなければ、きりがない。

(b) 厳罰を下しすぎるな
厳罰を下しすぎると、委縮してしまう。余程の理由が必要である。

(c) 落ち着き先を考えろ
帝国側にとって、イゼルローン要塞の存在意義は大きなものではなくなっているが、とは言っても、閑職の赴任先が、イゼルローンになってしまうのは良くない。場所を考えるべきだということ。たこ部屋のような、元々退職をさせるための部屋を決めておけば問題はない。そこには転職先を探すためのPCしかないけれども。少なからず、仕事をさせるなということになるだろう。

(教訓)
〇二人同時に処罰するときには、不公平感のないように。
〇厳罰を下しすぎると、委縮してしまうので注意せよ。余程の理由が必要である。
〇閑職の赴任先は、よく考えろ。閑職赴任先の色がついてしまう。あるいは仕事のない場所を選べ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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