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不利は有利の始まり

「11時方向に敵影!スクリーンに拡大投影します」
それは、駆逐間1隻及び半ダースほどの小型護衛艦からなる哨戒用の小集団で、数千隻の同盟軍の出現におどろき、逃走するところだった。
「発見されてしまった。これで奇襲はできなくなりましたな」
驚いたように、ヤンは艦長のゼノ中佐を見つめた。
「え、奇襲?私はそんなものする気はなったよ。帝国軍が吾々を見つけてくれて、実は安心しているんだが・・・」
この発言は、当然ながら幕僚たちの意表をついたので、ヤンは詳しく説明してやらねばならない。
「つまり、帝国軍の指揮官は、敵の援軍を、と言うのは吾々のことだけどね。発見して選択に迫られることになる。彼はさぞ迷うだろう。このままイゼルローン要塞を攻撃し続けて、吾々の攻撃に背を向けるか。その逆に吾々と戦って、イゼルローンに後ろを見せるか。兵力を両方向に分散して二正面作戦をとるか。時差を付けて各個撃破するという賭けにでるか。勝算なしと見て退却するか・・・まあ、追い込まれたわけだ。これだけでも吾々が有利になったんだよ」

(解説)
自分たちに不利になると、徹底的に不利だと思い込んでしまうのが一般人である。何か問題があると、勝手に自分自身を追い込んでしまう。いわゆる勝手にパニックと言う奴だ。

上記例では、選択肢が増えて迷う、ということであるが、ビジネスにおいても同じである。こちらの思い通りにいかない状況下に陥ると、つまり、当初計画通りにいかないと、勝手にパニックを起こす。いわゆる引き出しがないということである。こちらがパニックを起こしているわけだから、相手に有利に働くだろうと勝手に思うのだが、実際、相手がいる場合には、新しいカウンターパートが出てきて、さあ、どうしようと迷うこともある。こちらが不利だからと言って、必ずしも相手が有利とは限らない。

むしろ、相手に考えさせるだけ、相手が動いて勝手にこけてくれる場合もある。つまり急いで判断をさせれば、判断が誤ることだってある。

こちらが例え不利な状況下にあったと、思っていたとしても、勝手にパニックに陥ることだけはやめておこう。相手がどのような状況かは、相手にしかわからないことである。

仮に飲食店をやっていて、チェーン店が入り込んできたとする。ああ、ダメだではない。その競合がまるで敵ではないかもしれないではないか。敵であったとしても、切磋琢磨できる競合かもしれない。それは自社の強化につながる。いいことではないか。

(教訓)
〇不利な状況下に置かれたからと言って、勝手にパニックに陥るな。
〇競合他社がやってきたら。マーケットを奪われるではない。魅力的な商品開発をして、より消費者を引き付ければそれでいい。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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