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ビジネスは信頼が全てである

「これまでだな。かくて陽は沈み、一将功ならずして万骨は枯る、か・・・」・・・
「自殺はいけません。司令長官閣下、メルカッツ提督も敗戦の後、生命永らえたではありませんか」・・・
「宇宙艦隊が消失した以上、司令長官だけ生きていても詮ないことだ。そう思わんかね、貴官は?」
「まだ宇宙艦隊は消失してしまってはおりません。ヤン・ウェンリー艦隊はなお健在です。一隻でも艦艇が残っている限り、司令長官には生きてこそ責任を取っていただかなくてはならんのです」・・・
「この敗戦に対して、死ぬ以外に責任を取る道があると貴官は言うのかね?」・・・
「自殺なさるのは、味方に対する責任の取ることにしかなりません。私が問題にしているのは、敵に、そう勝利した敵に対しての責任の取りようです」・・・
「なるほど、わかった。わしには敵の銃口のために、この老体を残しておかねばならんというわけだな」・・・
「閣下と私、それにドーソン元帥、制服軍人組から三名ぐらいは軍事裁判の被告が必要でしょう。このあたりで、塁が他に及ぶのを食い止めねばなりません。同盟の未来のために、ヤン・ウェンリー等には生きていてもらわねばならないのです」

(解説)
ビュコック司令が責任を取るために自害しようとしていたところと、チュン・ウー・チェン総参謀長が止めたのであるが、その理由は、軍事裁判にかけられ、処刑される頭数をそろえておかねばならぬという、なんと、自己犠牲の精神足ることか、これぞまさにノブレス・オブリージュではなかろうか。

不祥事を起こして、辞めて終わりとか、辞めずに責任を果たすとか。世間は、辞める奴に対して、それだけで責任を取ったと思うなとか、辞めない奴に対して、責任を取って辞めろとか、責め立てる。ここで本当に自害したとしたら、陰謀論で誰かに消されたのだろうと思うかもしれない。

責任の取り方はいろいろあるが、リーダーと呼ばれる人は、財産的な失敗で責任を採らざるを得ない場合には、少なからず、全財産を差し出すくらいの気概は必要だ。それができないならば、もはや二度と立ち直ることはできないだろう。信頼はお金で買えるものではない。信頼は信頼でしか得られない。財産を残しておいて信頼を無くすよりも、財産をはたいて信頼を残す方がいいだろう。

自分の命を投げ出す覚悟、現代社会で命までは投げ出さなくてもいいが、それは全財産、生きる糧をとりあえず投げ出す覚悟で、一文無しになっても、またこの人についていきたいという気持ちになるのではないか。一文無しになって寄って来なくなったら、金目当ての人間なんだから、いらないでしょ、そんな奴。

(教訓)
〇信頼はお金で買えない。
〇信頼は信頼でしか得られない。
〇責任の取り方は人それぞれ。少なからず、この人についていきたいと思わせる責任の取り方をせよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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