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名誉ある撤退とはリーダーの無能さの証明

「吾々は包囲の危機にあるのではない。敵を各個撃破するの好機にあるのだ。この好機を生かすことなく空しく徹底せよと卿は言うが、それは、消極を過ぎて罪悪ですらある。なぜなら吾々に課せられた任務は、反乱軍と戦ってこれを撃滅することにあるからだ。名誉ある撤退と卿は言った。皇帝陛下より命ぜられた任務を果たさずして何の名誉か!臆病者の自己弁護に類するものと卿は思わぬのか?」

「好機と言っても、閣下お1人がそう信じておられるだけのこと。用兵学の常識からみても承服しかねます。実績を示していただかないことには・・・」

こいつは無能なだけではなく低能だ、とラインハルトは断定した。前例のない作戦に実績のあるはずがない。実績はこれからの戦闘で示されるのではないか。
「翌日には卿はその目で実績を確認することになるだろう。」

(解説)
シュターデン中将とラインハルトの会話は続く。古い頭の人間は、実績がないとダメだという。実績がないなら駄目だというならば、そもそも社会にはいつまでたっても技術的進歩は期待できない。我々が常に新しい商品やサービスを手に取っているのは、実績を重んじない精神があればこそである。

無謀はよくはないが、消極は害悪、とは起業家は常に心にとどめておくべきである。そもそも実績を語りだす奴と、その後語っていても無駄である。しかし、実績を語らなければならないことも必要なときはあるし、必ずしもダメともいいきれないときもある。だから、新しいことをやろうという人は、実績を重視する古臭い連中を身の回りにおいてはいけない。だから日本はダメなんだ論はいい。ならばさっさと海外へ行って賛同者と共に仕事をすればいいのだ。

さて、名誉ある撤退、そもそも撤退に名誉なんてあるのか、ということであるが、だからと言って玉砕すればいいというものではない。世間では、アメリカのベトナム戦争やアフガニスタン戦争は「名誉ある撤退」というのであろう。しかし、その本質は、自分のメンツを保つだけのいい訳にすぎない。別に撤退を美化する必要はない。撤退ならば撤退と、潔く撤退すればいい。そうして反省のネタにしておかないと、いつまでたっても、改善はできない。「名誉ある」を、上役の責任逃れに使わせてはならない。今までの犠牲は取り返しがつかないのだから。

(教訓)
〇新しいことをやろうとする人間は、周りに実績重視野郎を置くな。邪魔でしかない。そのようなものしか周りにいなければ、別の賛同者を探し、新天地へ向かえ。
〇名誉ある撤退なんて言うな。潔く撤退し、反省し、次に生かせ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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