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理念よりもパンの方が大事

「吾々は解放軍だ」
取り残された農民や鉱夫たちの軍に、同盟軍の士官はそう語りかけた。
「吾々は君たちに自由と平等を約束する。もう専制主義の圧政に苦しむことはないのだ。あらゆる政治上の権利が君たちには与えられ、自由な市民としての新たな生活が始まるだろう」
彼らが落胆したことに、彼らを迎えたのは熱烈な歓呼の叫びではなかった。面白くもなさそうに士官の情熱的な能弁を聞き流すと、農民の代表は言ったのだ。
「政治的な権利とやらよりもさきに、生きる権利を与えてほしいもんだね。食糧がないんだ。赤ん坊のミルクもない。軍隊がみんな持って行ってしまった。自由や平等より先に、パンやミルクを約束してくれんかね」

(解説)
同盟軍が、帝国領内に侵入し、そこの有人惑星に元帝国民が住んでいた。軍人が食糧などを持って行ってしまったために、食うに困っていた。

生きるか死ぬか、そんなときには理念なんてどうでもよくなる。まずは食べていくことが優先で、食べていければ、それほど政治には関心がなくなる。ましてや経済がいいときなんて、政府が何をしていてもお構いなしである。食べていけなくなって初めて、政治に文句を言いだす。

会社も似たようなものだ。どんなにブラックであろうと、まずは食べていくことが必要だ。食べていけなくなったときに、そして命の危険を感じたときにブラックだと文句を言いだす。赤字続きで、事業のセンスがなく、従業員にお金を払えないようなクソ経営者は論外として、理念だとか理想なんてのはどうでもいいのだ。まずは食わせてくれるかが重要だ。しかも安定的にだ。給料が少ないだの文句を言えるうちは、まだ幸せだ。売上が立たなくなったらどんな会社でも終わりだ。

理想を語る経営者の方が、稼げていない者が多い。経営学の教科書によれば、経営理念やビジョンが必要だというが、あまりに理想を追いすぎて現実離れすると、まずはお金が稼げなくなる。現実を見据えて、上手くいってから、以前考えてきた理念を据えればいい。それまでは理想に反しようが、理念に反しようが、とにかく稼げ。稼ぐのが資本主義社会の正義なのだ。

(教訓)
〇ビジネスにおいて理想や理念は二の次だ。まずは食べていけるかが重要。
〇上手く行く前に理想をほざくな。上手くいってから理想を掲げよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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