「政治の実相が、少数による多数の支配である以上、それを安定させるには、私のような者の存在は不可欠であろうと考えます」
「秘密警察が、か?」
「治安維持のシステムを管理するものが、です」・・・
「秘密警察というものは、なるほど権力者にとっては便利なものかもしれんが、ただ存在するというだけで憎悪の対象になる。社会秩序維持局は、先日、解体されたが、その責任者であった卿を処罰するよう求める者も多いのだ・・・」
・・・
「ローエングラム公は、元々武人でいらっしゃれば、堂々たる戦いによって宇宙を征服なさろうとの気概をお持ちなのは当然のことです。しかしながら、ときとして、一片の流言は一万隻の大艦隊に勝りますし、未然の防御は大攻勢にまさります。・・・」
・・・
「・・・名称も、何か他のものを考えねばなるまい」
・・・
「内閣安全保障局、どうでしょう、この名は・・・」
・・・
「古い酒を新しい皮袋に、だな」
「酒の方もなるべく新しくしたいと存じます」
(解説)
オーベルシュタインとラングの会話である。秘密警察というと怪しいが、日本でいう所の公安である。公安9課っていうと、カッコいいのだが。
ここで公安の是非を問うつもりはなくて、要するに、組織は名称を変えるだけでも、結構カモフラージュになるということだ。しかし、オーベルシュタインの言っている通り、「古い酒を新しい皮袋」にいれるだけでなく、その内容も新しいものに変えないとならない。日本の場合には名前を変えただけで、実質何も変わっていないものがほとんどだが、少なからず、優れた経営者は、そうあってはならない。
やっている内容を変えずに会社名そのものを変えても意味がない。事業内容が変わったら会社名を変えること。もちろん、事業をやっているうちに、その事業名が世間で有名になってしまうことがあり、そのような場合には、会社名を変更しても良いと思う。
(教訓)
〇名前だけ変わっても、中身が変わらなきゃ意味がない。
〇名前だけ変えて、カモフラージュに使えなくもないが、優秀な経営者の取る方法ではない。