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身分相応に真似よ

昂然たる自負を若々しい顔にみなぎらせて、トゥルナイゼン中将が賛同を求めるようにヒルダを見やった。ヒルダは、そうでしょうね、と答えはしたが、内心で肩をすくめないでもない。彼女はトゥルナイゼンが無能だとは思わないが、彼の言動がラインハルトを必要以上に意識していることに、いささかの危惧と苦笑を禁じ得ないのだ。ラインハルトは天才であり、天才は学習や模倣の対象としては必ずしも適当ではない。学ぶならミュラーやワーレンの堅実さや粘りであるべきだと思うのだが、トゥルナイゼンはラインハルトの余人にはない華麗な光彩の部分に目を奪われているように思えるのだった。

(解説)
天才ってすごいの一言だと思う。でも、その天才を妬むわけではなく、彼らもそれ相応の努力をしていることは分かっているのだが、運の良さもあると思う。天才は息を吸って吐くが如く、何かをやったら、別に深く考えなくてもできてしまう。だから、天才なんだと思うだろう。一般人に説明するならば、いつの時代に生まれたか、どこで生まれたかによって、恵まれるか恵まれないかが分かれるのが、容姿と言える。

日本だけを例にとってみよう。平安時代の美人は以下のような特徴があったといわれる。
・切れ長の細い目
・きめの細かい色白の肌
・ふっくらした頬(おたふく顔)
・サラサラしたツヤのある長い黒髪
・体型もふくよか
・大きな顔
・鼻筋が通った小さな鼻
・おしとやかな口(おちょぼ口)

次に江戸時代の美人は以下の通りである。
・色白できめ細かい肌
・細面
・小さめな口
・富士額
・涼しげな目元
・鼻筋が通っている
・黒髪

そして現代を考えると美人は以下のように変遷してきたといえる。
・細長いキリリとした目→大きな目
・小さな鼻→高い鼻
・ぽっちゃり体型→スリム体型
・大きな顔→小顔
・一重まぶた→二重まぶた
・短い太い眉→細め眉

今、日本において美人と言うのは、昔の基準では不美人になり、逆もまたしかりだ。

じつは天才も同じだといってよい。要するに運が良くないとどうにもならない。今の時代、今の場所に生まれてきたからこそ、天才は天才足り得るのである。

従って、我々凡人が、真似る対象とするのは、天才ではないのだ。むしろ秀才型だろう。もちろん、我、天才と思う人は、天才をマネしてもいいのだが、敵わないことに努力するだけ無駄なのだ。別に天才じゃなくても、成功する人はいる。成功すればいいのなら、天才を真似る必要などない。

分相応に、相手を見つけて参考にしよう。それこそが成功への第一歩である。

(教訓)
〇天才は、今の時代、今の場所に生まれたから天才なだけで、要するに運がいい種族である。
〇分相応に、相手を見つけ、真似ればよい。凡才が天才を真似ても上手く行きはしない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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