長期間にわたる戦争で、多くの将兵が殺される。軍隊は将兵を補充する。その結果、社会のあらゆる分野で、人的資源が不足するようになる。医師、教育者、警官、システム管理者、コンピューター技師・・・いずれも、熟練者が減り、その席は未熟者によって埋められるか、空席のまま放置される。こうして、軍隊を支える社会そのものが弱体化する。弱い社会は必然的に軍隊を弱くし、弱くなった軍隊はまた将兵を失い。その補充を社会に求める・・・。
この悪循環は、いわば戦争と言う糸車の紡ぎ出す矛盾の集積と言ってよかった。「戦争による破壊より平和による腐敗の方が恐ろしい」などと言う戦争賛美論者に見せてやりたいものだ、と、ヤンは思う。
(解説)
長時間にわたる労働によって、多くの人間が、メンタル的、フィジカル的にやられる。あるいは短時間でも今一つ対価に合わないで、そのまま才能を殺してしまうこともあるであろう。メンタル的にフィジカル的に壊れて退職していっても、会社はまた金で釣るなど、従業員を補充する方法はある。もちろん、次第にそのようなブラック企業が淘汰されていく可能性もなくはない。
しかし一度ブラック企業に身を置いてしまうと、そんな会社しかないと思ってしまって、ホワイト企業を探そうとも思わなくなる。そうやって、ニートや引きこもりの予備軍が創造されていく。もちろん、ニートや引きこもりの全員が、ブラック企業卒業者ではないことは確かだが、そういった側面は否定できない。履歴書のブラック企業があると、次の転職先でもこの人、大丈夫な人なんだと勝手に思われる。ブラック企業を卒業すると、ブラック企業からお声がかかりやすい。
ニートや引きこもりは当然のことながら、熟練ではありえない。世間で言う就職氷河期の何割かは、こんな状況である。自己責任をいう連中は恵まれていることに気づかないといけない。結局、熟練労働者の割合が増えれば、間違いなく、社会そのものが弱体化する。
これらは、競争社会による悪循環によってもたらされる一面なのかもしれない。そもそもこのような就職弱者を救うのは、国のやるべき仕事である。だが、経営者は、ブラック体質を会社から排除し、長くとどまりたくなる会社を作るべき責務があると思う。そういった経営者が増えて来れば、間違いなく日本はもっと良い国になれる。
仕事が余りにも楽しくなく、無駄な仕事が多すぎる。それはひとえに経営者の責任である。
(教訓)
〇経営者は、できる限り会社に従業員が長くとどまってくれる環境を創出せよ。
〇日本が良くなるも悪くなるも、経営者の責任は大きいと思って、事業を展開せよ。自分のためだけに事業をやっている奴は、事業をやらなくていい。国力を弱める売国奴でしかない。