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ナンセンスな仮定はするな。結果だけで能力を判断するな

「・・・あなたほど戦争の愚劣さを嫌っている人間はいませんが、同時にあなたほどの戦争の名人はいない。そうでしょう?」
「ローエングラム侯ラインハルトはどうなんだ」・・・
「五分と五分の条件で兵を動かしたら、多分あなたが勝つと私は思っているんですがね」
「そんな仮定は無意味だね」
「それはわかっています」
戦術とは、戦場において勝利を得るために兵を動かす技術である。戦略とは戦術を、最も有効に生かすための条件を整える技術である。従って、シェーンコップの言ったことは、戦争における戦略の要因を無視した仮定になり、現実としては意味がない。

(解説)
ヤンと部下のシェーンコップとの会話である。自由惑星同盟の本国において、クーデターが勃発して、指揮命令系統が完全に乗っ取られた。

野球でもサッカーでも名将についてよく議論されるが、結果として、優勝回数の多さで判断されてしまう。しかしその実は、もちろん指揮官としても有能であったことは事実だが、どれだけ戦力をそろえられたか、という、フロントや組織そのものの優秀さでもある。それらの総合力の結実が、優勝と言う結果に表れたに過ぎない。

弱小球団を優勝させた監督は名将とも呼ばれるが、そうはいっても、前任の監督が主力選手を勝敗には目をつぶって我慢して育てた結果、戦力が整った時代かもしれない。当然有能な監督かそうでない監督というのはないわけではないが、優勝回数だけをもって名将と判断するのは、本来意味がない。

そもそも戦力は異なることを前提として、与えられた戦力の中で、結果を出さなければならない。五分と五分の戦力と言う仮定自体がナンセンスだ。それにどんな名将であっても、結果を出せない組織であることがある。結果が出せないから凡将とも言い難い。

別の組織で、いきなり組織としての結果を出せというのは、大変なことである。自分のやり方が通用しないとか、そのやり方はその組織では認めないということもある。その戦力を与えてくれないと、やらない、というのは楽だよなと思う。よくサッカーの監督であるけど。そんなのは、結果を出しても名将と呼ぶのはやめておいた方がいい。

(教訓)
〇ある戦力を持てば勝てるという仮定を立てて戦略を考えてはならない。
〇現戦力で何とかするのが、名将。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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