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勝ちそうなときこそ、功を焦るな

どうやら勝った、と思ったのはビッテンフェルトも同様だった。・・・
「よし、今一歩だ。止めを刺してやる」
意気込んだビッテンフェルトは、格闘戦によって、かなりの戦力を維持している同盟軍第十三艦隊に致命傷を与えてやろう、と考えた。
・・・
積極的なその意図は、しかし、ヤンによって察知された。・・・その失敗にヤンは最大限に付け込むことにした。

数分後、D4宙域の帝国軍は、一転して敗北に直面することになったのだ。
これを見たラインハルトは、思わず声を上げた。
「ビッテンフェルトは失敗した。ワルキューレを出すのが早すぎたのだ。敵に砲撃の好餌になってしまったではないか」
・・・
「彼の手で勝利を決定的にしたかったのでしょうが。」
・・・通信士官がラインハルトを振り向いて叫んだ。
「閣下!ビッテンフェルト提督より通信、至急、援軍を請うとのことです」
・・・
「ビッテンフェルトに伝えろ。総司令部に余剰戦力はない。他の戦線から兵力を回せば、全戦線のバランスが崩れる。現有兵力をもって部署を死守し、武人としての職責をも全うせよ、と・・・以後、ビッテンフェルトからの通信を切れ。敵に傍受されたらわが軍の窮状が知れる」

(解説)
たった一人の功の焦りで、全軍のバランスが崩れて、敗北への道を歩むことはある。そのときに全軍を指揮している者は、功を焦った者を切り捨てたとしても、全軍のバランスを取り続けることだ。

そして、通信も切断することで、敵に内情を知らせぬようにするだけでなく、意図を、功を焦った部下に無言で伝え、きちんと責任を取らせることが必要である。非常に見えるかもしれないが、少数の犠牲をもって大多数の便益を取るという行動は、リーダーとしてやむなしと言える。

(教訓)
〇勝ちを確信したときこそ、功を焦るな
〇リーダーは全社のバランスを考えよ。功を焦った部下には、責任を取らせよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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