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発想が不純になってはならぬ

ヤンは護衛兵すらつけていない。・・・
その一方で、ヤンは、要塞内の警備保安システムの運用には注意を払った。・・・
これらのアイデアは、ヤンの本意ではなかったが、口やかましい軍上層部、心配性の部下、予算の消化を気にする官僚、視察好きの政治家、これあれかしのジャーナリズム、そういった人々に対して、これこの通り警備体制は万全です、とPRしておかねばならなかったのである。
「地位が上がるにつれて、発想が不純になっていくのがよくわかるよ」
「それより、地位が上がるにつれて、お酒の量が増えているのが、僕は心配です。少しお控えください。」・・・
ぐうの音もでず、ヤンは酒を控えることを約束したが、どこまで守れるものやら、約束した方にも、させた方にも、大して自信はない・・・。

(解説)
ヤンは銃を撃つのが下手くそだから、持っていても仕方がないというふうに合理的な考え方をしている。そこで警備保安システムを強化するというのだが、これも所詮は方便。そこで、養子のユリアンに対して、ヤンが「地位が上がると発想が不純になる」とぼやいていたわけだ。

地位が上がるということは、関係者が増える。関係者が増えれば、その間の利益配分、というか、調整が大変になる。権力者の元を訪れる連中は、大抵その権力の配分に預かろうとするから、腹の底では金をよこせとしか思っていない。金というか、要するにカネの流れ先、それはすなわち権力の一端ということである。権力のお吸い物だ。

政治家や高級官僚になると、その発想が不純になることは、コロナショックによって日本人も痛いくらいに目の前で見ることができた。経営者も、権力の中枢のようなものだから、似たような状況に陥りがちだ。いわゆる権力目掛けて、色々な取り巻きが囲んでくる。そのときに、自らの発想が不純になってしまっては、そのような、取り巻き、つまり金の亡者しか集まらなくなってくる。彼らをうまく使いこなさなければ、逆に使われてしまって、自分だけが塀の中で臭い飯を食らうことになる。

少なからず、自分の発想を不純にしてはならない。そうすれば、取り巻きも自分の野望を果たすことにうまくいかないことに気づき、組織の腐敗を少しでも遅らせることができる。

だからといって、取り巻きとの調整によるストレスをお酒に頼るのも良くない。

(教訓)
〇自分の発想だけでも不純にしなければ、不純な取り巻きによる組織の腐敗を遅らせることができる。
〇不純な取り巻きに汚染されて、組織が腐敗するのはリーダーの責任。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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