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一点突破あるのみ

「もし戦術レベルでの勝利によって戦略レベルの劣勢を補うことが可能であるとすれば、方法はただ一つです」・・・
「その方法とは、ラインハルト・フォン・ローエングラム公を戦場で倒すことです」・・・
「ラインハルト・フォン・ローエングラム公は独身です。私の狙いはそこなんです」・・・
「つまり、ローエングラム公が死んで、彼に妻子、特に後継者となる男児がいた場合、部下たちはその子を盛り立ててローエングラム王朝を続けていくことが可能です。ですが、彼には子がいない。彼が死ねばローエングラム体制は終わりです。部下たちの忠誠心と団結は、求心力を失って空中分解せざるを得ません。彼らは誰のために戦うかを問い直すために帝国へ帰還し、おそらく後継者の座を巡って激しく対立するでしょう」・・・
「彼らを何らかの方法で分散させ、各個撃破を重ねていけば、鋭気と覇気に富むローエングラム公のことです。私を討伐するために自ら出馬してくるでしょう。その機会を作らねばなりません。それが唯一の勝機です」・・・
「まあ戦略や戦術と言うより心理学の問題ですがね、こいつは」

(解説)
真珠湾攻撃を戦術レベルとするならば、第二次世界大戦全体が戦略レベルということになる。通常、戦術レベルでどうあがこうと、戦略レベルの勝利はおぼつかない。戦術レベルで勝利しても、戦略レベルで勝利しなければ意味がない。

しかし、ヤン対帝国という対立関係だけで考えれば、ラインハルトを倒せば、帝国は瓦解する。戦術レベルでの勝利が戦略レベルでの勝利に結びつく。連合軍はアメリカだけではなかったが、日本軍は、アメリカのルーズベルト大統領を暗殺できていれば、大戦に勝利できたのかと言うとそんなことはない。仮にルーズベルトを暗殺できたとしても、次の大統領が代わりに立つだけだ。だからどう転んでも物量勝負になると、勝ち目がなかったということになる。

ある会社が気に入らないからと言って、その社長を暗殺、その本社建物を爆破したところで、事業が停滞することはあっても、なくなることはない。はっきり言って無意味だ。暗殺と言うのはいただけないが、中小企業レベルであれば、社長がいなくなれば、瓦解するかもしれないが、そんなこともまた無意味であろう。

物量で及ばないときには、自らが生きのこればいいと考えた方が得策である。マーケット全体では全く敵わないが、そのマーケットの一部であれば、大企業相手に勝利を収めることもできる。もっともその大企業がその事業に関してそれほどやる気がないような場合に限られるが。

子どもの頃の喧嘩では、一対複数でもガキ大将さえ倒しておけば、集団は瓦解する。物量で敵わないならば、とりあえず一点突破だけを考えてみればいい。その集団全体に勝とうとは思わないことだ。つまり、マーケットの一部を取りに行くニッチ戦略しかない。

(教訓)
〇物量で敵わないならば、一点突破せよ。
〇マーケット全体で勝者になろうとするな、一部のニッチ市場だけ抑えればいいと切り替えろ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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