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予測と期待をはき違えるな

「もともと、皇帝のイゼルローン親征それ自体が感情の産物だったんですから。皇帝がイゼルローン同盟に固執したのも、そこに要塞があったからではなくて、ヤン提督がいらしたからです」
「ま、そういうことだろうな。ヤンの死と同時に、皇帝は冷徹な戦略家の本分に立ち返ったというわけだ。それで、今後の展開はどうなるとみるかね」
「これは予測ではなくて期待なんですが・・・」
「おや、言い方までヤンに似てきたな」

(解説)
キャゼルヌとユリアンの会話である。ヤンを失って、ユリアンが代わりに立ったものの、求心力もなく、組織としては健全に機能していない。こんなときに帝国が本気で攻撃してきたら一巻の終わりである。

ユリアンの予測ではなく、期待とは、ラインハルトが今すぐに軍事行動をイゼルローンに対して行うことはせず、時間がかかるうちに、帝国に分裂が生じ、イゼルローンに転機が来るというようなものであった。

予測と期待の違いは大きい。しかし、経営者の中で予測と期待を明確に分けない人物も少なくない。自分の期待を、将来予測である如く振る舞ってしまう。例えば、自分の商品やサービスは間違いなく支持される。これは期待であって、予測ではないが、予測であるように自分も部下も考えて、それに向かって動き出してしまう。しかし、予測ではないために、予測通りにはいかない。こんな間抜けな経営者に何百人あったことか。

期待を言うのはいいのだ。それで他人を巻き込まないでほしい。巻き込むのであれば、外注先としてしっかりと報酬を支払うことである。この期待と予測をはき違えると、期待が必然になってしまう。そうすると上手くいくはずだから、出世払い、つまり成功報酬でいいという発想になる。

予測と期待の違いは、前者には根拠があり、その結果に達するための明確な手段があることである。きちんとマーケティング調査をしていて、ターゲットに向けてしっかりと認知され、当然ニーズがあり、アプローチできている。

期待は思い込みである。何の根拠も手段もない。こうなればいいな、ああなればいいなと思っているだけで行き当たりばったりで動いているだけ、これでは上手く行きようがない。

(教訓)
〇期待を予測にするな。
〇期待は単なる思い込み、予測は根拠や手段がある。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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