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ホームラン狙いの事業家は成功しない

ロムスキー医師は、独立政府の首班として精力的に働いている。彼が良心的で責任感に富んだ革命政治家であることは確かであったが、「どんなに大きくてもファウルでは得点にならない」というワルター・フォン・シェーンコップの毒舌を、実のところヤンは首肯せざるを得ない。

「吾々はイゼルローンとエル・ファシルと、二つの拠点を有する。帝国軍にしてみれば、複数の敵拠点があればこれを分断するのが当然の用兵策となるだろう。おそらく、皇帝自身の本体と同時に、帝国領から別動隊がイゼルローン回廊を狙ってくると思う・・・」
「それはいつごろのことになるでしょう」
「そうだね、遠い未来のことではないだろう。時を費やす事のプラス面よりマイナス面を皇帝は考えるだろうから」

(解説)
大ぶろしきを広げる奴がいる。大ぶろしきは大ぼら吹きに等しい。大きな話をする人間に限って、結果が出ない。いわゆる「どんなに大きくてもファウルでは得点にならない」。タッチアップのできるくらいのファウルであれば得点にはなる。まさにポールの中に入ればホームラン、ポールの外ならば大ファウル。三振かホームランかとはよく言うが、ホームランや得点が多く、試合を決める一打を放てるバッターであれば問題はない。しかし試合を決める時には凡打を繰り替えし、逆満塁男は、信頼を失う。試合や優勝が決まった後でどんなにホームランを量産したところで、まったく意味がない。

ビジネスの世界では、空振りしかしない奴がいる。どこかでホームランを打ったことがあるならば、それはそれで立派であるが、だいたいビジネスでホームランか三振かと言う奴は、そのほとんどが、出資を集められたときがホームランで、お金を稼ぐ本業は三振と言うパターンが多い。ビジネスでホームランを打てる人材は、選球眼が良く、四球で出たり、時には死球をモノにしたり、単打、進塁打などをコツコツやっていき、着実に点を重ねていくことをやっている。そしていざという時に、ドカンと一発ホームランと言った感じだ。最初からホームラン狙いの事業家は、結局三振だけで終わってしまう。

さて、後段はラインハルトの基本的な考え方である。タイミングを見計らうも、時間をかけるのではなく、原則、速攻である。ビジネスの場合、様子を見て、とやっていると、何年もたってしまって、手遅れになることしかない。もちろん時機を見ずに動くことはナンセンスではあるが、動きながら、適切な時機に思いっきりアクセルをふかす、と言う方が、成功確率が高い。適切な時機に適切なポイントにいないと、アクセルをふかすタイミングが計れないからである。

(教訓)
〇ホームラン狙いの事業家は上手くはいかない。結果としてホームランを打てた事業家は選球眼が良く、普段はオーソドックスな単打や進塁打を放っている人である。
〇適切な時機に適切な場所にいる必要があるから、適切な時機に思いっきりアクセルをふかすためにも、まずは動き始めることが重要である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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