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配分が多ければ文句は言わない

「ブラウンシュヴァイク公が、宰相閣下より強大な兵力を有しながら、敗滅したのは、三つのものを欠いていたからです」
「是非聞きたいな、その三つと言うのを」
「では申し上げます。心は平衡を欠き、目は洞察力を欠き、耳は部下の意見を聞くことを欠いたのです」
・・・
「国家、組織、団体、どういってもよいのですけど、人間の集団が結束するには、どうしても必要なものがあります」
「ほう、それは?」
「敵ですわ」
・・・
ラインハルトは、皇帝(エルウィン・ヨーゼフ)に物質的な不自由をさせてはいなかった。・・・要求するものは、全て与えられ、どんなことをしても叱るものはいない。あるいは、これこそ、将来の大器の芽を摘み取る最善の方法であるのかもしれなかった。例え英明の素質を持つ者でも、このような環境ではスポイルされてしまうであろう。

(解説)
ヒルダとラインハルトの会話である。最後は、ヒルダが敵だといったところで、ゴールデンバウム王朝の最後の生き残りである7歳の皇帝を殺害することは許されない行為である、と言う点に関しては、お互いの意見が一致していた。

さて、負けるものは以下の3つの資質に欠けている。①心のバランス、②洞察力、③部下の意見を聞く耳。心が乱れていれば、感情的に意思決定をしてしまう。洞察力がなければ、物事の本質を見きわめることができない。そして、部下の意見を聞く耳を持たないこともまた、事実を的確に把握できなくなってしまう。つまり意思決定に誤りが生じるのだ。

そして、団体が結束するために必要なのは敵だ。社内政治においても、必ず敵というものはいる。なければ徹底的に作りだす。もっともほとんどの場合、敵というものは身近にいるものである。会社であっても、競合他社は敵である。

子どものうちから、不自由なく育つと、反抗心が失われる。よって、なるべく贅沢させれば、その才能を潰すことができる。国家で言えば、中国共産党は経済成長と言うエサで、国民をコントロールし、さらには周辺国家すらも批判させないよう圧力をかけている。経済成長というエサがなくなったときに、どのように統治するのであろうか。

国家でみると発言がイデオロギー臭くなるから、ビジネスに戻そう。会社も成長し、配分が多ければ、誰も文句を言わない。しかし会社の成長が止まり、配分が少なければ、不平不満が生じ、会社としてのまとまりを欠くことになる。

会社や社会が安定化するためには、とにかく成長させるしかないというわけだ。

(教訓)
〇優れたリーダーは①心のバランス、②洞察力、③部下等からのアドバイスを欠くことがない。
〇会社を安定させる薬は、成長と、関係者への身分不相応な配分である。それができれば、リーダーは絶対的に安泰である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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