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怠惰はイノベーションの原動力

彼にしてみると、「奇跡のヤン」などと言う異名は迷惑甚だしいものであった。信頼ではなく過信の温床になりかねない危険性をはらんでいる。ヤン提督なら何とかするだろう、と兵士も民間人も信じているようだが、信じられる方は誰も頼るわけにもいかない。ヤンは全能でもなければ万能でもなく、実のところ本質的に勤勉ですらなかった。同盟軍の最前線の指揮官で彼ほど有給休暇を消化した者はいないし、彼の戦略も戦術も、「なるべく楽をして勝つ」ことを最大の命題として考案されていた。ヤンに言わせれば、人類が文明を発達され得たのは、楽をしたいという一心が好結果を生んだのであって、心身の酷使を是とするのは野蛮人でしかない・・・

(解説)
奇跡のヤン、魔術師ヤンは、同盟側兵士や国民の心のよりどころとなってしまっている。優れた人物がいると、依存してしまう危険性もある。野球も、案外、エースや主砲がいなくなったりした方が、チーム全体が危機感をもって組織力が上がるというのは珍しくもない。心のよりどころは経営者だけの方が組織としてのまとまりが出てくる。当然、経営者が心のよりどころにならないケースが良くあって、その場合には、人格の優れた部長とか、常務とかの存在があってもやむなしである。

ヤンの戦略や戦術は「なるべく楽をして勝つ」というものであり、人類が文明を発達できたのは、楽をしたいからだという。確かに「怠惰」は、イノベーションの原動力である。偉大なアイデアは、怠け者であって、普通の仕事ができないような人から生まれてくる。もちろん、ここで怠惰というものは、何もしていない、ことを意味しているのではなく、ショートカット、つまり近道を探すという意味である。

怠惰が原動力となって、最小限の努力や犠牲で、最大限の生産性を高めようとことにインセンティブが生まれる。自動車、エレベーターやエスカレーター、コンピューターや携帯電話も、楽をしたいという気持ちが生まれなかったのではないか。馬鹿どもは、何でもいいから働け、と言ってくる。システムに金をかけるんじゃなくて、働けと。それ故、仕組化も考えずに、土日祝日を出勤し、残業をいとわない会社というものは、単に経営者が野蛮人なだけである。

イノベーションは、頭を使うから、常に頭に閃きが生じる状態を創り出していなければならない。そんなときに、ノルマだの何だのプレッシャーがあったり、あるいは残業が多すぎて休みが取れない状況では、アイデアも浮かびようがない。

(教訓)
〇怠惰はイノベーションの原動力である。
〇イノベーションを起こすためには、頭にひらめきを生じさせる環境が必要だ。つまり休みを十分にとって、頭がフル回転するような状況にしておかなければならない。その一環として有給休暇の取りやすい環境づくりが必要だ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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