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経営者が横着でないと、会社は大きくならない

ユリアンは、(ヤンを殺害した地球教徒に)・・・改めて死刑を宣告するとなると、決断を欠いた。処分未定のまま数日が経過するうち、三人の地球教徒は、相次いで自殺を遂げた。二人は下を噛み切り、残る一人は独房の壁に頭部を叩きつけたのである・・・。
「ユリアンもな、才能は十分にあると思うんだが、万事にもう少し横着にならなくてはいかんよ。理想と良識だけで皇帝に勝てるはずもない」

自分にできることは、「ヤン提督ならどうするだろう」と自らに質問し、彼の記憶力と理解力の全てを上げて、ヤンの生前を再生することだけだ。それにしても、何と早く、しかも予期し得ぬ状況で、ヤンはユリアンの前から去ってしまったことであろう。

(解説)
イゼルローンからの離脱者の中に、フェザーンの商人であるボリス・コーネフと事務長のマリネスク、航宙士のウィロックがいた。彼らは、地球教徒の後を尾行しながら、ユリアンの事を話していた。ボリスは、ヤンを暗殺した地球教徒の一派に対して、ユリアンが死刑を宣告できずに、彼らを自害させてしまったことも含め、ユリアンに対する感想を語った。

経営者にも、才能は有りながらも、理想や良識に囚われて考え過ぎ、行動に移せない人がいる。その理想や良識に合致する枠組みの中でしか動けないのである。経営者は、こだわる気持ちも大切だけれど、そのこだわりにも横着にならないといけない。たまに、まあ、そこまでこだわらなくてもいいか、と言う気持ちが必要である。また、経営者は色々なことに横着になると良い。これは、横着になれば、スタッフを上手く使おうとするからだ。あまり経営者自らが動きすぎてはいけない。自分の限界が組織の限界になってしまうからである。そして、何事にも横着になることによって、仕事を効率化しよう、とか、お客に対して手を抜こうという気持ち(気を抜いてはいけない)が、新しいサービスのヒントにつながることもある。新商品や新サービスというものは、もっと楽をしたいという気持ちの中から生まれることの方が多い。

ユリアンは、ヤンの思想に忠実であろうとした。人から支持をされていたということは、ヤンにそれなりの合理性があったからであって、ヤンの思考プロセスを追うことは、合理性の追求になる可能性が高い。それで、ユリアンは常に「ヤンならばどうしただろうか」と自分に問うて、ヤンに関する記憶をたどり、ユリアンなりの取るべき道を見出そうと努力をした。

このような気持ちは、経営者も必要かもしれない。様々なところに師はおれど、具体的に師になってくれる人はそれほど多くはない。そのときに、優れた経営者の回顧録でもいいので、そこから、この経営者ならば、どう考えただろう、と思いにふけることも良いだろう。自分が確立されていなければ、意思決定の指針にはなる。

(教訓)
〇経営者はあらゆることに横着になろう。横着になることによって、人を使うようになるし、柔軟性の高い考え方に至るし、さらには、新しいサービスも生み出すかもしれない。
〇直接の師がいなければ、尊敬する経営者の回顧録を読み、そこから、この経営者ならどうしただろうと考えることで、意思決定の指針になる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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