ボブランは機内のスクリーンの一隅に初陣のカリンことカーテローゼ・フォン・クロイツェル伍長の顔をみやって、にやりと笑った。緑色の瞳に陽光に似た光が躍る。
「こわいか、カリン」
「いえ、中佐、こわくなんかありません!」
「見栄を張るのは結構なことだ。最初は大きすぎる服でも、成長すれば身体にあうようになる。勇気も同じことだ」
(解説)
シェーンコップの生き別れの娘カリン。ボブランの部隊で戦闘に参加することになった。しかも今回は初陣でもある。
さて、ほとんどの人にとって、初めてなことは数多くあるものだ。だいたいどんな仕事でも今までやったことないことは少なくないだろう。そうはいっても、やってみれば何とかなるものだ。
転職するときにも、やったことなくても、それやったことあると嘘をついて入社した人も少なくないだろう。でも入社したからには、やってないことを言い訳にして、責任回避をしてはならない。だって、やったといって入社したんだから、できませんは嘘だろう。やってないことをやったと言い張ったからには、何が何でもやり切らなくてはならない。でもやり切った後、自分の経験は間違いなく増えているし、スキルは上がっている。自信も膨らんでいることだろう。
やったことなくても、やったと言い張って、会社の仕事をこなしていくと、より経験値が上がるから、どんどんでしゃばるべきだ。遠慮はしない方がいい。やってないことを理由に、やらないというのはもったいないではないか。新しいことをやることで、全く新しい世界を見ることができればなおよい。
嘘はいけないが、見栄を張るのは良かろう。結局、言った時点で嘘は嘘なのだが、実現してしまえば本当になる。実績を上げてしまえばこっちのもの、見栄を張ったら逃げられないから、自分のためにもなる。それを実現させるまで、なにくそと踏ん張れる。見栄は、大きな風呂敷だ。大きければ大きいほど、より多くの荷物を包むことができる、最初から小さければより多くの荷物を包むことはできない。
(教訓)
〇やったことのないことは、やりましたと嘘をついて、とにかくやり切れ。嘘を誠にしろ。
〇大いに見栄を張れ、達成できなければ恥をかくから、何が何でも粘ってやり切るようになる。