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経営者はスタッフに不安を持たせるな

「心配するな。私の命令に従えば助かる。生還したいものは落ちついて私の指示に従ってほしい。我が部隊は現在のところ負けているが、要は最後の瞬間に勝っていればいいのだ。」

「負けはしない。新たな指示を与えるまで、各艦は各個撃破に専念せよ。以上だ。」

(解説)
同盟軍を率いていたパレッタ総司令が負傷し、次席のヤン准将がその場を任された。劣勢である味方に対しての発言である。

大本営発表のように、別に嘘をつかなくていい。司令官は嘘をついてその場を落ち着かせようとするが、嘘がばれたときには、司令官を信用しなくなる。そのうち部下はどっちらけだ。

司令官はまず、現状を素直に伝えるべきだ。その現状を伝えた方が部下の肌感覚に合う。戦況が思わしくないのに、遠くの海で我が艦隊は敵の戦艦を撃沈、と言ったところで、なんで今敵の戦闘機が上を飛んで爆撃してくるんだよ、と思うのが当たり前だ。組織として一番よくないことは、上を信用できなくなることなのだ。

現状を伝えた後は、現場に安心感を与えることだ。どんなパニックになっても経営者が必死になって、部下の生活は保証する、と言えば安心する。もちろん、自分の生活を犠牲にしても、部下の生活は保証しなければならない。それが上の役目だ。そこで自分の生活を犠牲にすることなく、部下の生活を保証すると口だけになると、経営者のことを誰も信用しなくなる。

確かに、今は負けていても、最後勝てばいいのである。どんなヒーローものでも攻められている時間帯はある。いわゆる我慢時間だが、それを過ぎると、反撃し、最後は必殺技がお決まりのパターンだ。そのパターンを信じさせればいいだけのこと。危機的な状況であればあるほど、経営者は踏ん張り、部下を安心させることに努めよう。

(教訓)
〇嘘はつかなくていい。まずは事実を伝えること。
〇事実で絶望させてはいけない。希望を持たせること。
〇慌ててしまうと、とんでもない行動をとってしまうこともある。次の戦略が決まるまで、今までと同じことを継続せよ。と言わざるを得ない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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