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懐に入るには弱みを握らせろ

「キルヒアイス中将からお聞きになったと思いますが、この通り私の両眼は義眼です。あのルドルフ大帝の治世であれば『劣悪遺伝子排除法』によって赤ん坊の頃に抹殺されていたでしょう」
・・・
「お分かりになりますか。私は憎んでいるのです。ルドルフ大帝と彼の子孫と彼の生み出した全てのものを・・・ゴールデンバウム朝銀河帝国そのものをね」
・・・
「銀河帝国、いや、ゴールデンバウム王朝は亡びるべきです。可能であれば私自身の手で亡ぼしてやりたい。ですが、私にはその力量がありません。私にできることは新たな覇者の登場に協力すること、ただそれだけです。つまりあなたです。帝国元帥、ローエングラム伯ラインハルト閣下」

(解説)
イゼルローン要塞を敵国に奪取され、ゼークト提督を見捨て、のこのこと逃亡してきたオーベルシュタインは、国賊と評価されるのもやむなしである。そこで、出世頭のラインハルトの下に自分の居場所を求めた。オーベルシュタインはラインハルトの本心を知っていたのかもしれない。それに賭けた。ラインハルトは半分演技で、キルヒアイスを呼び、オーベルシュタインを逮捕させようとしたが、ラインハルトは、オーベルシュタインを自分の手の下に置くことに決めた。

相手の懐に入り込むためには、自分の弱みを敢えて相手に掴ませると良い。いざという時はそれを武器に、裏切れなくなる。だから、相手を信用させるわけだ。オーベルシュタインの存在が疎ましく思えば、国家反逆罪にすればいいだけの話である。

もう一つは、相手と方向性が同じことを示すということもある。大抵その人の志というものは、コンプレックスから来ていることも少なくない。子供のうち、貧乏の家に生まれれば、お金に苦労しているだろうから、お金に苦労しないように、稼ぐというのもあるだろう。もっとも現実は、お金持ちの家から、お金の稼ぐ人物は育ちやすいのではあるが。

些細な弱みではあるが、扶養家族を持っていると、会社を辞めづらくなる。だから、商社では積極的に社内婚を仕掛ける環境を創出していたりもする。ある会社では、家族持ちを積極的に入社させ、独り者を履歴書先行で弾いてもいる。そういう選別法がくだらないと思ったら、そんなバカな会社には行かなければいいだけの話である。特に後者では、従業員をとどめる魅力がない会社だと暴露しているようなものだ。

(教訓)
〇相手の懐に入りたければ、相手にわざと弱みを握らせろ。
〇相手の懐に入りたければ、相手と方向性が同じことを示せ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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