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伊達や酔狂で仕事をせよ

アッテンボローは三回グラスを空にして、別に顔を赤くするわけでもなく、決戦を控えてヤン艦隊の幹部たちにいっこう恐怖の色が見えないことを述べ、それをヤンの為人のせいにした。
「司令官の人格的影響力、いや、汚染力の恐るべきこと、恐るべきものだ。連中だってヤン艦隊誕生以前は、まじめで堅苦しい軍人さんだったに違いないぜ、まるでメルカッツ提督みたいにさ」

「いいことを教えてやろうか、ユリアン」
「何です?」
「この世で一番、強い台詞さ。どんな正論も雄弁も、この人には敵わない」
「無料で教えていただけるんでしたら」
「うん、それもいい台詞だな。だが、こいつにはかなわない。つまりな、それがどうした、というんだ」

「伊達や酔狂でやってるんだ。いまさら真面目になっても帝国軍のまじめさにはかなわんよ。犬はかみつく、猫はひっかく、それぞれに適した喧嘩のやり方があるさ」

(解説)
イゼルローン要塞に、帝国軍との決戦が迫っていたが、幹部連中には恐怖の色が見えなかったという。アッテンボローがユリアンに対して語っている。平はビビりまくりだろうが、幹部がビビッていないことは重要だ。組織には緊張感の走るときがあるし、気持ちが緩んでいては困る。但し、上司がピリピリしていると、間違いなく部下にも伝播する。部下が緊張して動けない、あるいは動きが悪いときと言うのは、上司がビビッていることが多い。そのときにいくら叱咤しても、部下は思うように動いてくれない。まずは緊張すべきときは、リーダーこそ気持ちを緩めるべきだ。一定の緊張感を保ちつつ、肩に力が入らない位に。肩に力が入っている部下がいたら、リーダーが率先をしてゆるめよ。

次もアッテンボローとユリアンの会話である。一番強い台詞は何だ。それは「それがどうした」である。確かに開き直りの言葉としては最強である。それを面と向かって言うかどうかはさておき、心の中では常に唱えておこう。
「融資のご返済が遅れていらっしゃいますが・・・」
「それがどうした」(心の中で)
「あんたの従業員の態度が悪いよ」
「それがどうした」(心の中で)
「少し価格が高くないですか」
「それがどうした」(心の中で)
こう普段から思っていれば、常に強気でいられるだろう。

アッテンボローお得意の伊達や酔狂がまた出てきたが、それぞれに相応しい戦い方をすればよい。小さな企業が大企業のマネをしてもかなわない。自分たちに相応しい戦術とは何かについて、普段から社内で共通認識を持っていた方がいいだろう。

(教訓)
〇上司がピリピリしていたら部下が思い切り仕事ができない。まずは上司が肩の荷を下ろせ。
〇常に「それがどうした」と反論を心の中でしておき、常に交渉で強気でいろ。
〇自分たちに相応しい戦術は何か、社内で共通認識を持っておけ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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