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愛と憎悪は表裏一体。この感情をビジネスに生かせ。

そのような戦略上の予測を立てたからには、ユリアンは対処法も考案しなくてはならない。彼は後世の歴史家ではなく、現代の行動者であるのだから。
ただ、将来の情勢の変化は、現時点における最良の対処法を、そのまま未来にも維持させうるとは限らない。

悠々たる大河も時として滝を作る。今、自分たちは歴史の滝に差し掛かっているのではないだろうか。とすれば、変動は意外に早く訪れるかもしれない。・・・彼を惜しみ、一方で彼を害した人間を憎悪するのは、自分の心が狭いからだろうか。

すると、ヤン・ウェンリーがユリアンの記憶集の一隅からささやきかけた。
「いや、ユリアン、そうではないと思う。何かを憎悪することのできない人間に、何かを愛することができるはずがない。私はそう思うよ。」

(解説)
経営者の中には、そもそも戦略上の予測を立てない人間も少なくない。結局のところ、今までやってきたことの延長でしか、物事を考えられなくなっている。延長ならまだしも、現状の継続でしかない場合がほとんどである。情勢が変化しても、今までのやり方を変えない。これではうまくいっていないことが、うまくいくことはない。

戦略上の予測を立てる経営者は中に入る。将来的にはこうなる!と断言するのだが、その対処法を考案して、行動に移す人は限られてくる。成功者と失敗者の差はここにある。失敗者は評論家で終わり、行動しない。何も変わらない経済状況であれば、今までのやり方を継続していっても何とかなるが、パラダイムシフトが起きている昨今において、評論家になってはいけない。

何も変わらない経済状況、世間的にGDPの低成長と言う状況であれば、経済大国としては悠々たる大河であろう。しかしその悠々たる大河も時として滝を作ることがある。これがパラダイムシフトである。現在のコロナショックはまさに滝と言えよう。巻き込まれて一気に落下する。空飛ぶ船を作るか、滝から落下しても大丈夫な頑丈な舟を作るか。中にはその衝撃で飛び出すクルーがいてもやむを得ないと思うか。独自で対処方法を考えなければならない。

上記のユリアンの憎悪とは、ヤンを暗殺した地球教に対して、あるいは専制政治に対する憎悪であり、ヤンや民主政治に対する愛である。経営者としては、その経営理念、自らの会社の存在意義に、何らかの愛がなければならないが、その愛を強烈なエネルギーに変えるのは憎悪である。抽象的な言い方になってしまったが、要するに、通勤電車を憎む気持ちが強ければ強いほど、テレワークの仕組みづくりに全力を注ごうと思うのではないか。

何か嫌な事があって、それを変えたいという気持ちが、新しいサービスに対する愛を生む。

(教訓)
〇いつまでも悠々たる大河のボートに乗っていると安心するな、いつ滝が訪れるかわからない。それに備えよ。
〇嫌な事を変えたいという気持ちが、新しいサービスを生み出し育てる原動力にある。その嫌な事に対する憎悪が強ければ強いほど、変えようとする愛も深まる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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