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敵を作ればまとまる

「・・・敵に対して、司令官の留守を狙って来やがって、という怒りはなかったですね。むしろ政府に対して、こんな時機に司令官を後方に呼び出すとは何事だ、と怒りをぶつける声の方が圧倒的でした」

兵士たちは政府を罵っていればよいが、高級士官たちはそうはいかなかった。ヤン不在の間、司令官代理を務めるのはアレックス・キャゼルヌ少将で、・・・これらの人々が指導者グループを形成する。同じ階級の者が多く、集団指導者形式を採らざるを得ない一面もあった。司令官代理のキャゼルヌにしたところで、同格の者の中での「比較級的第一人者」であるにすぎない。

(解説)
ヤンが首都で査問会に呼び出され、不在の時に、帝国のガイエスブルグ要塞がイゼルローン要塞に攻撃を仕掛けてきた。

「敵はこちらの都合なんて考えてくれないんだ」とぼやいている暇もなく、一般兵が忙しいのは、どういう状況下でも変わりないが、通常は、敵に対して、クソ野郎!と思いたいところではあるが、自国政府に対して、不平不満を持っていた。当然、直接の上司に対する不平不満もそれほど多くはなかったであろう。

組織がまとまるためには、その原因を作った第三者を敵に回すと良い。上記では、攻めてきた帝国軍ではなく、ヤンを呼び出した同盟の政府である。組織であってはならないのは、上司に対する不平不満である。生きるか死ぬかと言う状況においては、一般兵は戦わなければならないので、組織がまとまっている限りでは問題はない。第三者に、責任を擦り付けることができれば、上司としては勝ちだ。上司は、組織をまとめるために、原因を作った者を糾弾し、自らに不平不満が来ないようにしよう。

自社の売り上げが落ちたのは、本来は、経営者の責任ではあるが、外部に要因を見つけ、競合他社の戦略であるとし、その競合他社という敵に対して、組織を一致団結させるのである。なにくそと言う気持ちを、外に持っていてもらおう。

ただ、そうは言っても、部下はいいのだ。リーダーとその取り巻きは、自社の売り上げが落ちた原因を競合他社のせいにしてはならない。競合他社を超える商品やサービスを考えだし、打ち出すのが仕事なのだから。売上の減少の責任は、概ね自分たちにあると思うくらいでなければ何も改善しない。コロナだからしょうがない、政府が保証しろ、と言っているうちは、売上等永遠に上がらない。

(教訓)
〇組織を一致団結させるためには、外に敵を置け。
〇経営者は、外に敵を置いてはならない。あくまでも自分たち自身に責任があるとして対処せよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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