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八方美人になるくらいなら敵を作った方が成功する

「ブラウンシュヴァイク公爵、フレーゲル男爵か。どうしても奴らと同じ空気は吸えないようだな・・・」
ラインハルトが顎となでながらつぶやくと、一言も挟まずに同席していたキルヒアイスが、はじめて口を開いた。
「敵が増えることを憂慮なさるのですか、ラインハルトさま」
「そう見えるか」
「いえ」
「ではどう見える」
「頼もしい味方が増えることを楽しんでいらっしゃるように見えます」・・・
「その通りだ。俺がいかに振る舞おうと、貴族共の間でこれ以上、敵は増えぬ。・・・」

(解説)
八方美人にはあまり良いイメージがない。誰に対しても人当たりよく接し、相手のどんな話にも同意する立ち振舞いをしてしまう。一見、敵を作らない良い人に見えなくもない。しかし八方美人だということは、自分の意見を持っておらず、単に他人に迎合しているだけであり、嫌われることは少ないかもしれないが、好かれないし、しかも最終的には信用されなくなる。

そして、みんなに合わせる結果、自分自身に大いにストレスが溜まる。みんなに合わせるよりも、できるかぎり言いたいことを言ったほうがましだろう。自分自身の意見を持つ、ということは必ず、敵対者を作る。わざわざ嫌われて、敵を作ることがないが、異なる思想を持つという事は、逆に言えば同じ思想を持つ者が集まってくる。それが仲間というものである。

逆説的かもしれないが、仲間を作るために、敵を作る。敵の敵は味方だ。ビジネスにおいても、敵がいないが味方もいない、というよりも、敵もいるが味方がいる方が、はるかに働きやすい。人気者には必ずアンチが存在する。アンチがいるということ敵が多いのだが、それだけ味方も多い証拠なのだ。

離職率が高いよりも低い方が良い会社に見える。しかし離職率が低い会社は、革新的なことをせず、マンネリ化してしまう。しかも入社時の序列が何年たっても変わらない。よく言えば安定的だが、つまらないことも少なくない。それに引き換え、離職率の高い会社は、新陳代謝が激しく、厳しい環境ではあるが、自分を育ててくれる可能性も高い。新しいことをやらせてくれることも多い。離職率が低いということは、ある意味で八方美人な会社ともいえるのだ。

(教訓)
〇八方美人は敵を作らないが味方も作らない。敵はいるが、味方もいる方が仕事はしやすい。
〇離職率が低い会社はよく言えば安定感はあるが、悪く言えばマンネリ、チャレンジングではない、八方美人的な会社である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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