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会社を出世させれば、自分は勝手に出世する

「今回も含めて、後二度は大きな会戦が必要か・・・」
ブラウンシュヴァイク公が元帥号を得た道程の容易さに比べると、一つの階を上る都度に茨の門を潜り抜けねばならぬ身が、いささか面倒に思えるのだが、キルヒアイスは優しく彼の血気をたしなめた。
「ブラウンシュヴァイク公でさえ、19や20歳で元帥号を受けたわけではありませんから、何も焦ることはありません。どうせラインハルト様以外に勝てぬ戦いが、必ずあります」
キルヒアイスはいつも正しい。ラインハルトは、ただ栄達の必要があるから戦うのではなく、それに加えて、彼自身、大敵を撃ち滅ぼし、茨の門扉を自らの足でけやぶることに、精神の最奥部から前進を貫通して蒼氷色の瞳に結晶する灼熱した昂揚感を覚えるのだ。譲り受けることに何の喜びがあろう。自らの知力と気概とをもって、不当な占有者から奪い取ることにこそ、充実を覚えるべきであった。

(解説)
ラインハルトが後二度は大きな会戦が必要といったのは、ミッターマイヤーやロイエンタールという有能な部下が、現在のラインハルトの役職では、一時的な配属でしかなかったからである。永続的に確保するためにはもっと出世が必要になる。そこで、キルヒアイスは焦ることはないと諭したわけだ。

社内で出世を考えた場合、大企業に入社して上に行くよりも、中小企業に入社して上に行く方が容易である。しかしそんな会社で取締役を名乗ったところで、大して自慢にもならない。それは一面的な話で、その小さな会社を大きくすれば、いいだけの話だ。だいたい今どき、大企業に入社しました、一生安泰ですという時代でもない。上場企業でも潰れる可能性がある時代だ。まして、大企業に入社したから、そのまま雇用し続けてくれるほど、もう社会は甘くはない。大企業でのキャリアは、次の転職先を見つけるには容易だが、タスクベースの評価が浸透する時代においては、結局仕事が出来なければ評価されず、すぐに実力がバレるだけの話だ。

小さな会社で出世できる人材は、大きな会社でも出世の時間はかかるが、着実に出世できる人材だろう。伝統的な大企業の社長になりたいという夢があるならば、出世して半世紀後に叶えるのもよいだろう。どんな人生を歩もうとその人の自由だ。

会社には成長期と安定期があって、成長期に関われれば大変だろうが、実績によって出世のチャンスは広がる。焦る必要もない。そうは言っても、出世は自分でつかみ取ることは確かだが、会社の成長によって、譲り受けたものと言えなくもない。自分で会社を立ち上げて、その会社をマーケットで出世させた方が面白いと思うが、それも価値観である。

(教訓)
〇大企業で出世するよりも、中小企業で出世した方が早い。もちろん大企業で半世紀後に社長になる人生も価値観である。
〇起業して自分の会社をマーケットで出世させるという考え方もある。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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