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汚れ役が大組織を支えていることを知れ

ヴェスターラント出身の一兵士が、ガイエスブルクを脱出して、ラインハルトの陣営に身を投じたのは、核攻撃が攻撃される前日のことである。
話を聞いたラインハルトは、艦隊をヴェスターラントに派遣して攻撃を阻止しようとしたが、オーベルシュタイン参謀長がそれを止めた。
「いっそ、血迷ったブラウンシュヴァイク公に、この残虐な攻撃を実行させるべきです・・・その有様を撮影して、大貴族共の非人道性の証とすれば、彼らの支払下にある民衆や、平民出身の兵士たちが離反することは疑いありません。阻止するより、その方が効果があります」
恐怖を知らない金髪の若者が、この時はさすがにひるむ色を見せた。・・・
「目をつぶれというのか」
「帝国250億人民のためです、閣下。そして、より迅速な覇権確立のために」
「・・・わかった」
ラインハルトはうなずいたが、その表情には、彼独特の華やかさが欠けていた。

(解説)
ブラウンシュヴァイク公の甥が、民衆に致命傷を負わされ、死んだ。それに激怒したブラウンシュヴァイク公は、その民衆の地、ヴェスターラントに核攻撃をすることになった。

第二次世界大戦において、広島と長崎に原爆を落としたのが、より多くの死者を出さないために、というものであった。彼らの犠牲のもとに、日本全土、当然連合軍(とくにアメリカ兵)の死者が食い止められたという側面は否定できない。

また、色々な戦争においても、画面や報道で、敵の極悪非道さは伝わってくるが、真実がどうなのかはよくわからない。こちらの軍の誤爆で、それを良いことに、敵国の仕業というプロパガンダも起こっているのもまた事実だ。

オーベルシュタインの作戦は、要するに不作為の作為というものであって、ブラウンシュヴァイク公の核攻撃を見てみぬふりをして、それを報道することで、貴族側の卑劣さを全土に伝え、より味方に有利に働き、戦争の早期終結の可能性を高めたことは事実であろう。

それを卑劣とするかどうかは、正直、歴史が決めることでもある。もちろんこういったことを正当化するつもりはない。ただ一言、言えることは、このような汚れ役が組織において重要な役割を果たしていることから、経営者は目を背けてはならないということだ。

まさか、うちの会社は、クリーンですよ、なんて言っている優良企業に勤めている人の99%はそんな汚れ役の存在など知らずに、エリート意識を持っていると思うが、実はどんな会社にも、有名企業であれば、必ずこれだけの大組織を維持するための闇の存在はいる。いないと思っている従業員がいれば、あなたが知らないだけだ。そりゃ、そんなもの教えるわけがないだろう。知らなかったとしたら、組織において、あなたはそれほど重要な人物ではないからである。

(教訓)
〇大組織であればあるほど、安定化させるためには汚れ役がいる。
〇汚れ役の存在は、その組織で重要な役職についている人しか知らないから、その存在を知らないということは、その組織で重要な存在でないというだけだ。いわゆる部品と言う奴だね。残念ながら。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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