「たとえ敵に地の利あり、大兵力あり、あるいは想像を絶する新兵器があろうとも、それを理由として拒むわけにはいきません。我々が解放軍、護民軍として大義に基づいて行動すれば、帝国の民衆は歓呼して吾吾を迎え、進んで協力するでしょう・・・」
フォークの演説が続いている。
想像を絶する新兵器、等というものはまず実在しない。互いに敵対する両陣営の一方で発明され実用化された兵器は、今一方の陣営においても少なくとも理論的に実現している場合はほとんどである。戦車、潜水艦、核分裂兵器、ビーム兵器等いずれもそうであり、後れを取った陣営の敗北感は「まさか」よりも「やはり」と言う形で表現されるのだ。
人間の想像力は個体間では大きな格差があるが、集団としてトータルで見たとき、その差は著しく収縮する。
(解説)
同盟側が帝国側へ進行するにあたって、今攻めなければ、帝国側に味方するようなものだ、と言う暴論をフォークがはいていたときに、ヤンがあきれ返っていた。しかも、精神論にまでなっている。大義に基づけば勝てる。精神論を持ち出すときは、大抵負ける軍隊の最後のすかしっ屁に近い。
さて、技術力があると思っている経営者は、不思議と自分の技術力に絶対的な自信を持っている。しかも世界初だと思い込んでいる。このようなバカに遭遇したときには、相手にしないことだ。私は技術者として優れている、お金がありさえすれば、私は技術だけを追っていけばいい、後は他の人にお任せしたい、と必ず言うのだが、相手にするだけでも時間の無駄だ。
「人間の想像力は個体間では大きな格差があるが、集団としてトータルで見たとき、その差は著しく収縮する」とあるが、なぜ、この技術が世に広まっていないかと言えば、他に考えた人がいたが、採算が合わないため、そして、根本的にロジックが間違っていることがほとんどである。社会的にその技術がアホだと思っているから誰も相手にしないのだ。それをいかにも考えたのは自分だけだと思っているが、何人も同じことを考えているものだ。まさに「井の中の蛙大海を知らず」。単なる調査不足である。
この世に新しい、画期的なものは、それほど多くはない。投資家はよくわかっている。わからないのは、おバカ技術者のみなのである。
(教訓)
〇今までないものは、既にダメだということがわかってしまったものである。
〇私だけが考えた画期的なもの、と思い込んでいるバカがいたら、早速離れよう。話を聞いていても時間の無駄である。