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権力者集団の正体

権力者集団とは、独善的な指導者意識と、特権の分配に対する執念とを共有する排他的な選民グループであって・・・

この世で最も貴重なものは、他人を支配し服従させ、他人の労働の成果である税金を公然と私物化し、自己の利益を確保するための法律を作る権力であるのに・・・

羞恥心に乏しい幾人かの商人がヤン・ウェンリーと言う商品を帝国に売り渡すための行動を開始した。・・・
「ヤンは同盟国内の反帝国強硬派・過激派を結集して帝国に反旗を翻そうとしている」・・・

「そもそも、この密告者どもは、今までに幾度もヤン提督に危急を救われたはず。今日、政治的状況がいかに変わったからと言って、手のひらを返して恩人を売ることは、醜態も極まります。もし彼らが自身の言うがごとく、ヤン提督が権力を独占して独裁者となった時は、たちどころに旗の色を変えてヤン提督の足元にひれ伏すでしょう。そのような恥知らず共の中傷を閣下はお信じになりますか」・・・

レンネンカンプは、この密告状を信じたのではない。信じたかったのである。

(解説)
権力者集団のくだりはそのものである。全くもって独善的な指導者意識があるし、自分たちが特権にしがみつき、それを共有しようとし、それ以外のものをその集団に入ることを徹底的につぶす選民意識が凄い。彼らは、他人を支配下におさめ、税金を私物化して、自分たちの利益を最大化するための法律や制度を作りまくっている。何かそのもの過ぎて否定できない。

これらは政府だけのことではなく、会社経営にも言える。上層部が単なる利益集団に成り下がっている。公務員は国民の公僕であるが、経営陣は従業員の下僕であるわけでもなく、もちろんその義務もない。しかし、独善的なリーダーシップは百害であり、会社全体で稼いだ利益を経営陣が好き勝手に分配する姿勢は、ダムにある小さなひび割れになりかねない。公平かつ透明な報酬分配制度を構築するよう努力せねばならない。

さて、現在、同盟のハイネセンに赴任している帝国の高等弁務官、ヘルムート・レンネンカンプに元に、密告状が届いた。ヤンが権力者になろうとしたことはないが、元の同盟側の権力者集団からは疎まれており、自らも権力者集団にとどまり、現在の権力を保持するために、ヤンを帝国側に売ろうと企んでいた。その密告状に対して、レンネンカンプの部下であるラッツェル大佐が意見を申していたが、レンネンカンプは、その密告状の真偽はともかく、利用しようとしていた。

権力好きの奴は、とことん権力好きだ。そして権力になびこうとする。何の理念もない。ただ、権力にすがりたい。実際の権力者はともかくとして、それになびこうとする連中は、極めて能力弱者なのだろう。強いもの従って、自ら権力者面しようとさえする。経営者が、そういう連中を一度取り込んでしまうと、いつ、権力が他人の元に渡った際には裏切られると考えた方がいい。権力が好きなだけで、自らを指示してくれているのではない。

(教訓)
〇独善的なリーダーシップは百害である。自分が権力者の如く、報酬制度まで恣意的に運用しようとすれば、ダムのひび割れにもなりかねない。
〇権力好きの奴を部下にすると、いつ裏切られるかわからない。奴らはあなたに従っているのではない。あなたの権力に従っていることを忘れるな。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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