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持つより、必要なときに借りろ

ヤンは現在の自由惑星同盟において政治権力を乱用する高官たちに腹立たしい思いを抱いているが、それは同盟の政治体制である民主主義を否定しているからではない。その逆だからこそ、民主主義の精神を堕としめるような権力者たちの愚行に腹が立つのである。

「私にとっては政治権力と言う奴は下水処理場のようなものだ。なければ社会上、困る。だが、そこに住み着いたものには腐臭がこびりつく。近づきたくもないね」

・・・「必要なものを必要な間だけ借りた。必要がなくなったから返すだけの事さ」
「また必要になったら?」
「また借りるさ。その間、帝国に預かってもらう。利子がつかないのが残念だが」・・・
「貸してくださいと頼めば、当然、拒絶されるだろうな」
「ひっかけるしかないでしょう」
「相手はロイエンタールだ。帝国軍の双璧の一人だ。ひっかけがいがあるというものさ」

(解説)
どんなに優れた制度でも、小ずるい奴がその制度を上手く利用して、無知で正直者が馬鹿を見るというのは、永遠に解決しない命題なのかもしれない。そんなのに反吐を出していては、いくら食べてもできれない。少なからず、経営者は小ずるくならないといけない。損をしてしまう。ヤンは、政治権力を下水処理場に例える。

会社経営も似たようなところがないだろうか。上に行けばいくほど、下水処理場のようだ。腐臭がこびりつく。上に行けばいくほど、クリーンになるわけでもない。最後は塩素を入れてごまかすしかない。

優れた経営者であればあるほど、聖人君子でなければならない。上へ行けば行くほど、奇麗になる。それがノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)の精神である。財産、権力、社会的地位の保持には義務が伴う。

ヤンにとってみれば、イゼルローン要塞は、必要な間だけ借りたもの、必要がなくなったら返す。必要になったらまた借りる、存在でしかない。もはや所有よりも賃貸を駆使する時代と言ってもいい。

(教訓)
〇会社経営も、上へ行けば行くほど、汚れていく。優れた経営者はこうであってはならぬ。ノブレス・オブリージュの精神を忘れるな。
〇現代は、所有よりも賃貸を駆使するのが重要な経営戦略な時代と言える。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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