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挫折は柔軟性を生む

ナイトハルト・ミュラーは、最前線にある彼の旗艦が、火球と色彩の竜巻に包囲されるのを砂色の瞳に移した。同盟軍が最後に結集した破壊力の苛烈と強大さは驚異的と言うしかなかった。旗艦は六ケ所に渡って破損し、核融合炉が危険にさらされるに及んで、乗員は退避せざるを得なくなった。
「閣下、脱出なさってください。この艦の命運は尽きました」
艦長グスマン中佐が青白んだ顔に汗の玉を浮かべて進言すると、ミュラーは軽く首をかしげてから、それを受け入れた。ただ、単に脱出を望んだわけではない。
「では、他の勘に司令部と移す。最も近い距離にいる戦艦は何か」
ノイシュタットである、という回答を得ると、ミュラーはうなずき、「卿もシャトルに同乗せよ」と命じて艦長の自殺をとどめた。不敗のラインハルトは、自ら求めて、栄光の鎖で足を縛らざるを得なかったが、かつてヤンのため大敗を喫した経験のあるミュラーは、敗戦によって柔軟な対処法を学んでいた。彼はシャトルに身をゆだね、死に瀕した期間を離れた。・・・

こうしてナイトハルト・ミュラーは、一度の会戦において、四度にわたって旗艦を変えた提督としての有名を後世に伝えることになる。

(解説)
挫折をしたことが少ないと、失敗を恐れるし、百戦百勝にこだわり、行動の足かせを自ら嵌める。しかし、挫折をしまくっていれば、ハイ次々、とさっぱりしたものだ。

ミュラーの場合は、生きていれば何とかなる、と言う気持ちでいたのだろう。変なプライドも持たずに旗艦をポンポン乗り換える。旗艦だからと言っても、今騎乗している艦を旗艦にする必要はない。自分が乗っている艦こそが旗艦なのだと割り切れる。

挫折や失敗は、人を強くするとも言うが、柔軟性をもたらす。

プライドが高いと、会社を潰すのが怖い。事業を潰すのが怖い。しかし、今の事業や会社にこだわっていると、借金まみれになったマイナスの会社を、プラスに転じるのにもの凄いエネルギーを使うことになる。そこで、無責任にもなって、会社が汚れたら、洗うのではなく捨てればいい、と言う気持ちになれれば強いものだ。何が何でも今まで築いてきた会社を守らなくたっていい。それが自分の負担になり、飛躍を妨げるのであれば。自分が生きていれば、事業や会社なんて、新しく作ればいいのだ。過去にこだわるな。

(教訓)
〇挫折は人を強くし、柔軟性も高める。
〇負債まみれの会社にこだわらなくていい、洗うのではなく捨てる勇気を持て。本当に不要であれば。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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