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太く短くか細く長くか

微熱を発した皇帝ラインハルトは、寝室のベッドに身体を横たえていた。近侍のエミール少年が傍に付き添っており、医師も控えている。
じぶんはこれほど体質が虚弱だったのだろうか、と、ラインハルトは思うのがが、エミール少年に言わせれば、これほど戦争と政務に精励して、多少の熱ぐらいでない方がおかしいというのだった。・・・
「それにしても、この頃、良く疲れを感じるのだ」
「あまりに真面目にお仕事をなさいますから」
ラインハルトは軽く笑って少年を見やった。
「おや、それではお前は予に怠けろというのか」・・・
「陛下、ご無礼をお許し下さい。でも、強い炎は早く燃え尽きる、と亡父から言われたことがあります。本当に少し楽をなさってください」
ラインハルトは即答しなかった。恐ろしいのは、燃え尽きることではなく、それを成し得ないまま空しくくすぶり続けることなのだ。

(解説)
人間だれしも、生命エネルギーは同じ大きさで生まれてくる。それを太く短く使うか、細く長く使うかは、その人に選択権をゆだねられている。それではなぜこれほどまでに不平等なのか。ある人は若いうちに病気で死に、自己で死ぬこともある。その人なりの命の意味を与えられて、散っていった結果に過ぎない。

中には大成功する人もいれば、冴えない人生を歩む人もいる。それでも与えられた生命エネルギーは同じで、どう使うかの違いでしかない。もちろん、運があることは確かだ。努力でできる範囲は相当限られている。

ラインハルトは間違いなく太く短く生きたタイプである。少年から指摘されたように「強い炎は早く燃え尽きる」。別に太く短くも細く長くもどちらがいいとか、悪いというものではない。ただ、不健康になって倒れるよりは、ペースを緩めて生きたほうが、結果、より良い方向に進むと思われる。身動きが取れないのが、人間一番きつい。

ラインハルトは、燃え尽きることよりも、なしえないまま空しくくすぶり続けることを良しとしない。大成功をする人は燃え尽きることを恐れない。全エネルギーを一つの事に注ぐのを恐れない。何もしないことを恐れる。だから成功するのだ。

一人一人のろうそくは限られているかもしれないが、チームでろうそくを付ければ、長く激しく燃えることはできる。

(教訓)
〇燃え尽きることを恐れるな。
〇チームならば、激しく長く燃えることもできる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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