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時には開き直りも必要

現在のところ、敵の行動はヤンの予測を越えてはいない。問題は味方の行動である。彼の作戦に従って動いてくれればよいが、一歩誤れば収集がつかなくなり、全軍潰走という事態になるであろう。そのときはどうする?

「頭をかいてごまかすさ」

ヤンは自分自身にそう答えた。全てを予測することはできないし、無謬の行動をとることもできない。自分の能力を超えたことにまで責任は持てないのだ。

(解説)
危機的な状況に陥ると、相手や外部でパニックを起こすよりも、内部でパニックを起こして足が引っ張られることがよくある。ヒステリー状態だ。そのままおとなしくしてくれていればいいのだが、自分だけ助かりたい症候群、自分だけ正しいことをやっている症候群におちいるバカが一定程度組織に入るものだ。最悪無視するしかない。

その内部者のお陰で、立てていた戦略が足元から崩れていくこともないわけではない。ただ、こういう足を引っ張る奴は、元々組織には役に立っていない人材であることが多い。多いというと控えめだ。100%と断言してもいいだろう。だから、危機的な状況に陥ったときに、足を引っ張ったやつがいれば、真っ先に解雇の対象にしても良い。それで性根がよくわかるというものだ。

ヤンも「自分の能力を超えたことにまで責任は持てない」という。これはその通りであろう。もちろん可能な限り経営者は責任を取るべきだが、コロナショックのような事態が生じ、売上が蒸発する中で、会社全部を完全に守ることはできない。できる限りのことをするしかないのだ。

もちろん、通常の状況下においては、会社に起きるありとあらゆることをコントロール下に置くべきだし、その中で、コントロール下に置けないことも多くはあると思うが、コントロール下に置けないのであれば、それだけ組織を拡大するのもいかなるものかと思う。身の丈に合う経営を心掛けるべきで、何でもかんでも拡大志向は持つべきでもない。もはやそんな時代でもない。自分のできる範囲のことをやる。なるべくコントロール下に置く。それを少しでも心がけるのが経営者の務めと言える。

(教訓)
〇危機的な状況に陥ったときに、必ず足を引っ張る部下はいる。ピンチは性根を見るチャンスと心得よ。
〇コントロール下に置けない不測の事態はある。だからこそ、通常において、コントロール下に置けない位の、拡大志向は持ち過ぎない方がいい。身の丈に合った経営を心がけよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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