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部下は常に上司の行動を予測せよ

家に戻ったオーベルシュタインをまず向かえたのは、ダルマチアン種の老犬で、尊大に尻尾を振った。ついで彼を迎えた執事は、主人の服を受け取るべく腕を伸ばしながらも、夕食に沿えるワインの銘柄を尋ねた。

「いや、ローエングラム公から今一度、呼び出しがあるはずだ。アルコールはやめておこう。料理も軽いものでいい」

軍服姿のままオーベルシュタインがアルコール抜きの「軽い食事」を済ませた頃、TV電話が鳴り、ラインハルトの首席副官アルツール・フォン・シュトライトの姿が画面に現れた。

「総参謀長殿、ローエングラム公が至急のお召しです。公はまだ元帥府においでですので、ご出頭願います」

礼儀正しく、また型通りにシュトライト少将は言ったが、自宅での夕食時にも軍服姿でいるオーベルシュタインを見て奇異な印象を受けたことは確かだった。

「・・・一つ忘れていたことがある」
「何事でございましょう」
「意外とは言わさぬ。予測していなければ、これほど早く呼び出しには応じられまい」

(解説)
昔の会社の同僚で、いわゆる社畜だということを公言していた人がいて、「サラリーマンとは365日24時間、会社に拘束される職業だ」と言っていた。だから社畜なんだよ、と言う人も多かろう。

働き方改革で、残業代は徹底され、しかも遊休は完全に消化するなど、労働者の権利が拡大されている。しかし、正直、そんなことを言っていていいのかと思う。むしろオーベルシュタインのように、いつ何時、呼ばれてもそれに応じられ、しかもその上司の行動を予測し、常に準備しておく、こういった考え方の、いわゆる社畜が、企業の幹部候補になっていくことはほぼ間違いない。働き方改革でそれを権利だとして、会社に要求する連中は、今後、パートやアルバイトで十分になってきてしまうだろう。あるいは時間内にあることをやってくれるならば、外注すればそれでいい、といたところだ。

時代は良くも悪くも、会社に残れる人、残れない人を選別していく。だから365日24時間、かけられる仕事を探した方がいい。そうなると究極起業しかなくなるが、中には、事業センスの乏しい人はいるし、より大きな夢を見たいと思う人はいるだろう。より大きな夢を見せてくれる人を探し、そこで365日かけてみる人生もある。どれが正しい生き方かどうかは人それぞれではあるが、経済原理を考えれば、権利を主張してくるよりも、会社にどれだけ貢献してくれるか、貢献度の高いものを会社として採用するというのが、企業として当たり前の行動原理になる、という事は知っておいた方がいい。

(教訓)
〇社畜をバカにするな。社畜がいずれ、会社の幹部候補となる。
〇上司の行動を予測し、事前に準備せよ。
〇365日かけられる仕事を探せ、そうでないなら、アルバイトかパートで甘んじろ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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