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出る杭が打たれるくらいなら、能ある鷹は爪を隠せ

周囲に無能で視野の狭い者が多いことをラインハルトは不快がるが、キルヒアイスの見解は、ここでもやや異なる。無能で視野の狭い者が多いからこそ、ラインハルトは彼らを踏み台にして高見を目指すことが可能となるのだし、洞察力と創造力に富んだ者がラインハルトの野心の赴くところを看破すれば、彼ら二人が未来の手を握ることは永遠になくなってしまう。

ていねいにラインハルトは本心を偽った。未だ無力な反逆者は、ときとして過剰なほどの礼節によって自らの本質を隠し通さなくてはならない。その必要性をラインハルトは十分に承知している。当人はそのつもりである。だがキルヒアイスから見れば、羊毛の下に計画がのぞく。その視線はキルヒアイスが後天的に授かったものである。

(解説)
「能ある鷹は爪を隠す」という諺がある。その意味は、才能や実力のある者は、軽々しくそれを見せつけるようなことはしない、ということである。ラインハルトは、帝国の簒奪を考えていたわけだから、敵にバレてはいけないし、目立ってもいけない。それ故、自分の野心を気付かれないようにし、力を蓄えておかなければならない。

また、「出る杭は打たれる」という諺もある。その意味は、才能や手腕があって頭角を現すものや、差し出たことをする者は、とかく他から憎まれたり、人から非難されたりするということである。ラインハルトもまさにそのような状況にある。

何故出る杭は打たれるかというと、能力のない者からの僻みややっかみ、妬みと、既得権者の邪魔するなアピールである。ビジネスの世界において、既得権者は、既存のビジネスモデルの勝者である。簡単にその勝者の座から降りたくはないのだ。既得権者は新参者が出て来ることによって、自分の取り分が減るのを嫌う。

正直、無能者からの妬み、やっかみなど、無視に値するが、既得権者の攻撃は、無視できるものでない。経済的な力をもって邪魔をしてくることがある。そうは言っても、出る杭が打たれるということは、それだけ相手にされている証拠である。普通の人間は脅威にも思われていないから打たれない。それに杭というものは、地中に入れば入るほど、建物の基礎として強固なものになる。打たれれば打たれるほど、基盤が固まってより強くなると考えれば、決して悪いことではない。しかし、対応も面倒だし、余計なコストもかかるため、潜水艦のように、力を付けた後で、浮上するのが一番効果的かもしれない。そんな意味で「能ある鷹は爪を隠す」のが良いのだ。

(教訓)
〇打たれれば打たれるほど、基礎は強固になる。脅威に思われているから叩かれるのだ。
〇打たれるのに対応するのは面倒であるから、力を付けてから潜水艦のように浮上するのがコスパが高い。そんなわけで、能ある鷹は爪を隠しておくのが良い。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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