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必要最小限度の労力で最大の効果を上げよ

「閣下、言いにくいことを申し上げますが、ローエングラム侯ラインハルトは用兵の天才です。戦って勝てたとしても犠牲は大きく、しかも全帝国を戦火に巻き込み、民衆にも害を与えることになりましょう。ご再考いただきたく存じますが」
シュトライトの懇願は、怒声によって酬われた。勝てたとしても、とはどういう意味か、必勝の信念を持たぬ者に用はない、生命が惜しければ引っ込んで辺境の惑星で野菜作りでもしているがいい。
シュトライトが失望して引き下がった後、フェルナ―大佐と言う人物がブラウンシュヴァイク公に意見を具申した。彼が主張したのも、少数によるテロリズムで、熱弁を振るって説いた・・・
「黙れ、きさまもわしがあの小僧に勝てないというのか」
「閣下、私が申し上げたいのは、帝国を二分する大戦となった場合、惨禍はあまりにも大きく、勝者も傷つくに違いないということです。ローエングラム侯は破壊の後に再生を目指すという立場ですから良いとして、閣下には体制を維持する義務がおありのはず。ただ勝てばよいというものではないでしょう」

(解説)
シュトライト准将がブラウンシュヴァイク公に面談を求め、ラインハルトの暗殺によって戦いを回避すべきであると主張した。

アメリカの元大統領であるオバマ氏の実績について批判的な方も多いが、オサマ・ビンラディンの暗殺については、それなりに評価に値すると思われる。多くの兵隊の犠牲を伴わず、最小限度の犠牲で最大の効果はあったように思う。当然のことながら、テロリズムというものは、首謀者が死んで解決することはない。次の首謀者が現れ、暴力には暴力の応酬になることは目に見えている。

そこで、家臣がブラウンシュヴァイク公に対して、ラインハルト暗殺で、多くの国民を傷つける内戦を避けようと具申したのだが、全く聞き入れてもらえない。

何でもかんでも大戦力を投入することが良いわけではない。必要最小限度の手間で、最大の効果を上げるという発想は、リーダーには不可欠なのだが、人海戦術のようなものは、要するに何も考えていない。ひたすら犠牲だけが大きい。売上を上げるためにはどれだけ多くのコストをかけてもいい、と言う発想でしかない。これからは、必要最小限度の労力で最大の効果を上げるにはどうしたらよいかと言う発想で企業経営に臨むべきであろう。尊ばれるべきは、売上の大小ではなく、利益の大小であって、しかも関係者へのより大きな利益配分ではないかと思う。

(教訓)
〇経営者は下手に物量作戦に出るな。売上よりも利益重視で行け。
〇売り上げの大小、利益の大小よりも、尊ばれるべきは、関係者へのより多くの配分である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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