「生死は問わぬ。ブラウンシュヴァイク公を私の前に連れてこい。成功したものは、一兵卒でも提督に昇進させてやるぞ。それに賞金もだ。機会を掴め」
ラインハルトが味方を励ました。
戦意は欲望によって加速された。
・・・前方に巨大な光の壁が出現した。後衛に控えていたメルカッツが、急追してくる敵に近距離から主砲斉射を浴びせたのだ・。・・・
ブラウンシュヴァイク公を守って、やがて彼は退去した。・・・
「なぜ、もっと早く救援に来なかった!?」
メルカッツと再会したとき、ブラウンシュヴァイク公が発した、これが第一声であった。歴戦の名称は顔色も変えなかった。むしろ予測していた表情で、だまって頭を下げたが・・・
・・・彼と異なる考えを持つ者は反逆者にしか見えず、忠告は誹謗としか聴こえない。
・・・当然ながら、このような気質を持った者は、社会に多種の思想や多様な価値観が存在することも認めない。
「その病気を育てたのは、・・・500年にも及ぶ貴族の特権の伝統だ・・・」
(解説)
最初はラインハルトの檄であるが、結局、この戦いではブラウンシュヴァイク公を捕えることはできなかったが、組織の中でも下克上があれば、やる気が出るというもの。敵の大将を捕まえるという大きな成果であるから、一兵卒が提督という超下克上があっても、それは成果に対応する対価と言える。今の経済体制で、これくらいの大きな成果を出せ、というのは難しいが(昔サラリーマンファンドマネージャーで億万長者番付に入った人はいたが、それぐらいのレベルか)、超昇進というインセンティブがあっても面白い。
通常は、ある程度経験を積ませて、と言うやり方の方がいいに決まっているが、地位に就かせてから、強引に経験を積ませるというやり方だってあるはずだ。徐々に上げるという発想だけが良いという考え方はやめよう。昇進も型破りがあっていい。
ブラウンシュヴァイク公の、異なる考えは反逆であり、忠告は誹謗というのは、決して笑えるものでもない。オーナー社長にはこんな人も珍しくはない。とはいえ、あまり巨大組織のリーダーにはなり得ないだろうが、リーダーは、多種の思想や異なる価値観を認められるだけの柔軟性が欲しい。でも、日本の組織は金太郎飴で、異なる価値観を認めたがらないのが多い。だから、段々じり貧になっていくことに気づかないといかん。まあ、それに気づいたときはもう終わってるが。
そして、リーダーは伝統的な組織から這い出てきてはならない。そのような組織から出てきても、リーダーの思考は硬直化し、組織をダメにする。まずは伝統を壊すぐらいせよ。
(教訓)
〇成果を上げたら、一般従業員から取締役なんて言う人事制度もあってもいい。まあ、ベンチャー企業だけだろうが。
〇リーダーこそ、異なる価値観を認める柔軟性を持て。そうでなければ、多種多様な人材を組織できるわけはない。多人種の会社がグローバルな競争を制するのは、自明の理である。アメリカを見ていればわかる。