「ユリアン、現在の状況は古来から固定しているものと吾々は誤解しがちだ。だけど、考えてもごらん。銀河帝国なんて代物は500年前には存在しなかった。自由惑星同盟の歴史はその半分の長さだし、フェザーンに至っては一世紀そこそこの歳月を経ただけだ。」
宇宙の最初から存在したわけでもないものが、宇宙の終焉まで続くはずがない。必ず変化が訪れる。その変化はローエングラム公ラインハルトと言う傑出した人格を借りて、まず銀河帝国を席巻し、ついで、触手を伸ばして全人類社会をからめとろうとしているのだ。
(解説)
過去、現在、未来を認識できる生物は人間をおいていないといわれるが、認識するだけでしかない、ほとんどの人間が、現在を精一杯生きているだけにすぎない。
いや、明日のことを考えるからこそ、貯蓄が必要だ。老後のことを考えて、厚生年金を支払っている。学歴高い方が、いい会社へ行けて幸せになれる。資格を持てば食いっぱぐれはない。
実はこのような価値観も、戦後生まれたに過ぎない。実は、第二次世界大戦が終了してまだ一世紀も経っていない。しかし、いま生きている人は、今、この現実が昔から続き、未来まで続いているという認識しかない。頭では、昔はそうじゃなかったじゃん、と思っていても、未来はずっと続くよどこまでもと信じている。
コロナショックによって、過去の習慣や過去の方法が、ことごとく否定されている現在においてもなお、ワクチンが出来さえすれば、いずれ昔と戻ると思っている人の割合の方が、戻らないと考えて準備している人よりもはるかに多いだろう。
むしろそのように考えないととてもじゃないけれどやっていられない。今、事業をしている人は、コロナ以前の売上に戻ってもらえないとどうにもならない。戻らないことを考えて、自ら変わるよりも、早くコロナ騒動が終わって、以前に戻らないかな、いつ戻るんだろう、という希望でしかなくなっている。
以前に完全に戻ることなんてない、と言うくらいの気持ちでいない限りは、今後、別のアクシデントが起きたとき、お手上げしかしようがない。経営者は、世の中がどうなったからと言っても、会社に利益をもたらすのが役目だという事を忘れてはならない。
(教訓)
〇この世に普遍的なものなどないと割り切って行動せよ。
〇古き良き時代など回顧するな、新しき良き時代を自ら創造せよ。