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戦力を最大限投下するのが良い場合とは

「増援なさるのであれば、緊急に、しかも最大限の兵力をもってなさるのがよろしいと小官は考えます・・・それによって敵に反撃不可能な一撃を加え、味方を収容して、速やかに撤収するのです」・・・
「客員提督のお考えに、私も賛成だ。兵力の逐次投入は、この際、かえって収拾の機会を減少させ、なし崩しに戦火の拡大を招くだろう。全艦隊をもって急行し、敵の増援が来る前に一戦して撤収する。直ちに出動準備にかかってくれ」

(解説)
客員提督メルカッツにヤンが尋ねた返答と、それに基づいて下したヤンの命令である。

戦うべき相手が明確であって、やるべきことが決まっている場合、そして成功や失敗が物量だけに依存する場合には、戦力は一気に投入した方が良い。つまり「増援なさるのであれば、緊急に、しかも最大限の兵力をもって」と言う意味である。

ここでちまちまやっていると、つまり「兵力の逐次投入は、なし崩しに戦火の拡大を招く」。さらにコストがかかるということだ。

当然、右肩上がりのマーケットであり、自社の資源の投入によって、その結果がその投入量に比例しうると分かっている場合だ。逆に、まだそのマーケットが不確実、つまり、自社の商品がどの程度マーケットに受け入れられるか、科学的な確信がない場合には、戦力は「逐次投入」をしていた方が良い。失敗の確率が高く、投入した費用が、サンクコストになる可能性が高いからだ。

自分の資産を投入する場合であれば、失敗しても自分の資産が失われるだけだから、エイヤーでもいいけれど、他人の資産を預かっている場合、預かろうとしている場合に、最初にこれぐらい投下した方が上手くいきますと説得しても、他人は良いとは思わない。だから、小さく投資して、小さな円を大きな円にしていく、つまり、段々売り上げを高くしていくのが、一般的に好まれる方法だし、その方がリスクが少なくて済む。

投下資本が小さければ、やり直しがきく。

おそらく、マーケットが予想が付く場合、予想がつかない場合、どちらの場合にも言えるのは、「即座に意思決定をして経営資源を投下する」ことだけである。つまり緊急にということだけだ。

(教訓)
〇科学的に予想のつくマーケットでは、緊急に、最大限の戦力を投下するという方法が良い。
〇科学的に予想のつかないマーケットでは、戦力の逐次投入と、都度軌道修正が望ましい。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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