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リスクある行動は、その期待成果も含め、部下に説明せよ

「ラインハルトさま、これは・・・」
「そうだ、キルヒアイス、司令長官閣下よりのありがたいご命令だ。12時40分を期して、左翼部隊全兵力を上げて直進、正面の敵を攻撃せよ、と」
・・・
「ミュッケンベルガーの思惑は読めた。敵の手を借りて俺を排除し、その犠牲のもとに勝利を収める気だ。奴がその気なら、こちらも相応の対処法を取るしかあるまい」
・・・・
「危険は承知している。私としても使いたくはない。だが他に方法はあるまい。手をつかねてミュッケンベルガーの策に乗り、二面戦闘の愚を犯すか?」
・・・
大胆極まる、と、メックリンガー准将は内心で舌を巻いている。だが、この奇策よりもなお賞賛に値するのは、ラインハルトがこの奇策を、大成功とみなさず、使い捨ての単なる奇術として二度と使わぬことを言明する、その戦略家としての識見であった。

(解説)
ミュッケンベルガーはラインハルトを戦死させたかった。惑星レグニツァに突撃させたが、ラインハルトの機転で生還した。次は、ラインハルトの左翼を突撃させて、孤立させ、同盟軍からの攻撃を浴びさせ、囮として活用しようとした。そこで、ラインハルトは戦場を平面に見れば、左翼から斜めに同盟軍と帝国軍の前方を横切り、同盟軍の中央部隊を直進させ、ラインハルトは右翼から攻撃、ミュッケンベルガーの中央部隊は同盟軍からの攻撃を直接受けることになった。ヤンは帝国軍の組織上の不協和音を感じたが、同盟軍首脳部は罠であると静観。ラインハルトの左翼部隊は、敵の左翼部隊の左側面へ展開、攻撃した。

結果的には、嵌められた奴に嵌め返したわけだが、敵軍に対して自艦隊の横腹を見せるわけだから、極めてリスクの高い作成である。しかしこのリスクの高い作戦を実行しなければ、よりリスクの高い行動をとらされることになる。ラインハルトはやむなく、部下に対して「このような奇策は二度と使わない」と言明した。

ビジネスは何事にもリスクがある。そのリスクを最終的にかぶるのは経営者だが、失敗したときには、幹部も報酬削減等のダメージを受ける可能性がある。そのため、幹部連中には、いくつかの選択肢を示したうえで、リスクとそれによって得られると思われる成果、つまりリターンを論理的に説明しなければならない。リスクが大きい事業であれば、社内のコンセンサスが必要になる。もちろん最大の損失が、経営者だけで負い切れるのであれば、ワンマンで判断してしまっても問題はない。

(教訓)
〇リスクが高い意思決定は、社内的にコンセンサスを取れ。
〇部下、特に幹部にリスクとリターンを論理的に説明せよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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