「外務省の内部の規約がある、検証せよ、そして信じよとね!彼らはまず相手を疑い、はったりをかけてから交渉が始まる国民なんだよ!」
「もめごとは私の責任問題だ!!」
「弱気になるなっ、桧山!!すぐに大金が転がり込むんだぞ!!政府援助と一緒にな!!」
「し、しかし・・・」
「儲け話は弱気が一番の、敵だ!」
「合弁事業を手始めに、定期航路の営業権、観光レジャー産業と、やくざの天国になる第一歩だ!!俺が、その連中を必ずおとなしくさせる!!」
(ストーリー)
三度目の日ソ合弁事業会議が行われようとしていた。この時期、ソ連が解体されつつあり、ロシア共和国への援助が西側全体の方針となっていた。ソ連側のウナトフ通商代表は環日本海経済圏の時代であり、シベリア開発は今しかないと力説、しかし日本が出す開発資金2兆円は割高感がある。そこでウナトフは利益の7割を日本が取ってよいという話をした。外務省の伊達審議官は、早急に現地視察団を構成を依頼した。
ウナトフと石油採掘会社の株の35%を買い占め筆頭株主となり、代表取締役に就任したばかりの四条統二郎が会った。政府は1兆円融資の半分を合弁企業へ出すように、この席に同席していた外務省の桧山が、政治家相手に調整していた。
ロシアに到着した一行。伊達は桧山に、現地で民族紛争の動きがあることを話す。ウナトフは警備を軍に依頼した。
実は伊達はゴルゴに特定の場所を紛争状況に陥れて欲しいと依頼した。伊達はここはテロの危険がある、そういったときに、ゴルゴが仕掛けて紛争状態を作り出した。どさくさにまぎれ、統二郎は伊達を狙撃しようとしたが、ゴルゴが統二郎を殺害。伊達はその場からゴルゴの乗るヘリで脱出した。
(解説)
「シベリアの汽笛」の一幕である。前段が外務省審議官の伊達とその秘書水野女史の会話である。日本人が目先の金を追って、シベリア開発に飛び乗るのが許せなかった。中長期的に日本の利益を考えるべきというのが伊達の持論であった。「検証せよ、信じよ」とは良い言葉だ。検証せずして信じてもいけないし、信じているから検証しなくてもいいということにはならない。
後段は外務省の桧山、統二郎とウラコフによる民族紛争の可能性についての会話である。儲け話があったら、弱気にならずとにかく攻めよ。これはビジネスにおいても鉄則である。
[教訓]
〇検証して信じよ。
〇儲け話があったら、弱気にならずとことん攻めよ。