「クラウン夫妻は、たいへん有能な、火山学者だったんでしょ!?普賢岳の火砕流は、有能な夫妻の予測をはるかに超える規模とスピードで、発生したんですかね!?」
「そう、それだけが不思議なんだ!世界で一番目と二番目の権威の予想を超えた火砕流・・・結局は、そういう事なんでしょうな・・・」
(ストーリー)
普賢岳の火砕流の話である。普賢岳の火砕流で本職のフランスの学者夫妻が逃げ遅れたにもかかわらず、脱出できた者もいたという噂があった。報道の人間であればニュースにしているはず。
FTVの伊東がそのうわさが気になったため、調査をしてみることにした。旅館の女将に写真を見せると、ゴルゴがその旅館に泊まっていたという。また、アメリカの軍人も来ていたと証言していた。警察の普賢岳対策本部に火砕流で脱出できた東郷の話を尋ねた。しかも防衛庁がその男はいなかったことにしろと言っていた。
学者夫妻が「ピナツボ火山は噴火しても一過性です」と発表したら、フィリピンの基地存続派を勢いづかせてしまう。ソ連の脅威が去った今、フィリピンの基地を存続させる意味がアメリカにはない。それでフィリピンのクラーク空軍、スービック海軍基地の円満な撤収のためには夫妻暗殺もやむを得なかった。ゴルゴに夫妻を暗殺させたが、火砕流に巻き込まれて死んだため、本来はゴルゴにお金を払わなくてもよかった、ということであった。
(解説)
「クラウン夫妻の死」の一幕である。火山学の権威が噴火に巻き込まれて死んだ。FTVの伊東が普賢岳の観測本部の人間と語っていたときの台詞である。どんな専門家でも予測を超えることには対処できないということだ。
ではこのような場合はどうすればいいのか。常に不測の事態を想定し、対処するしかない。その事態を列挙して、一つ一つ解決策をイメージして置く。ある程度の経験がある人であれば、その経験内で対処できることも少なくはない。しかしそれでも起こりうるリスクを可能な限りリストアップしておくしかない。過度にリスクを感じてしまうと、リスクを負うこと自体を回避してしまい、まったく新しいことはやらなくなってしまうから、そこまで過敏になりすぎることはない。一応最悪のことを考えておけば、最悪になった時でも対処はできる。心構えは最低でも必要だ。
[教訓]
〇最悪なことを考えておくことで、心構えだけは持っておく。これだけでも不測の損害が起きたときに動揺せずに対処ができる。
〇経験とは優れたリスクマネジメントである。