「場所は、ホワイトハウス前の広場としよう。」
「えっ、あんな人目の多いところで!?」
「ふふふ、こういう取引は、陰でこそこそやるよりも、人の多い所の方が成功率が高いものだよ・・・私にとって、辺鄙な場所は逆にFBIの尾行を気にしなきゃならないからね・・・」
(ストーリー)
元CIAのウィリアムズがゴルゴを呼び出した。NATO軍の予想配置計画の機密資料が盗まれた。そこでハリーが責任を取らされたという。犯人はコンピューター技師ハリー・ローゼンバーグだったが、機密を盗み出したものの金の仕方がわからず、ウィリアムズに相談してきた。
ウィリアムズがローゼンバーグに会う約束になっていて、ゴルゴにその話を盗聴させた。公園にいたのはハリーの友達ジャネット。ハリーの代わりに話に来た。ソ連のラシコフの決めた場所へ時間どおりに行き、例のものを彼に手渡し、50万ドルを受け取るという取引だ。そしてラシコフには死んでもらうとジャネットに伝えた。
ローゼンバーグはラシコフと直接話をした。場所はホワイトハウス。目印としてラシコフは白い野球帽をかぶっていき、ウィリアムズには赤い帽子をかぶって来てくれと話した。そして合言葉は「大統領はお元気?」だ。
ホワイトハウスの前で取引がなされた。ローゼンバーグから機密を受け取るが、ラシコフが渡したのは札束ではなく、書物。それに気づいたとき、ローゼンバーグが射殺された。ラシコフの方がCIAの局員であった。
実はウィリアムズは本当はCIAをやめておらず、ローゼンバーグを呼び出すための罠だった。ゴルゴに嘘をついたが、どうやら無事だったようだ。
(解説)
「大統領はお元気?(ワシントン・秘密工作)」の一幕である。悪いことをするには逆に堂々とやる、とばれないとは思えないが、まさかホワイトハウスの前でソ連に機密を売るということをやっているとはだれも思うまい。ローゼンバーグが手配されているのならば、そんなわけにはいかないが。
ビジネスにおいては、人が考えることをやっていては成功しない。人と真逆なことをやっていても成功するかどうかはわからない。しかし人が思っていないことをやれば成功する可能性は高まる。例えるならば、A地点へ向かうのに、みんなが通っている道を通っても華は摘まれてしまう。A地点から逆方向へ行けば、目的地には到着しない。A地点に行くのに別の道に行けば、きれいな花に出会える。そんなところか。
[教訓]
〇裏道に咲く花の方が踏みつけられておらず、きれいに咲いている。そして目的地にも行ける。