「あなた、今日も射撃に行くんですか・・・?」
「ああ、むしゃくしゃすることがあってな・・・ストレスを吹き飛ばすには、クレー射撃が一番だ!気分がスッキリする!」
(ストーリー)
外務省の長倉局長が東洋電工の社長である芝田を訪ねてきた。歌舞伎俳優の菱川円之助を紹介してほしいという。
アメリカのCIAが日本と中国の動きには目を見張っていた。そこに趙啓明という経済部門では若手の凄腕と言われる中国政府の人材が、劇団の日本訪問に同行してきたことを察知した。CIAは趙が歌舞伎俳優の菱川円之助と料亭で会食する予定であると掴んでいた。
芸術家は芸術家同志でといい、外務省の長倉と、中国の趙、そしてソ連大使館のイワノフ一等書記官が同じ料亭で会合をした。長倉は、イラクが湾岸戦争でアメリカにはめられ、唯一の超大国への道を歩みつつある、そこで日、中、ソの三国が中心となって欧州と同じような経済ブロックをアジアにも作るための話し合いをしたいと提案した。長倉はソ連も中国もいずれは民主化すると考えていたのである。
長倉は、東洋電工の社長にも東亜共同体構想を話した。しかしアメリカが黙っていないだろうと。そこでアメリカのジョージ・アービングが計画中のソ連からのパイプライン建設に便乗し、アジア各国をなし崩し的に巻き込み、アメリカが気づいたときには巨大な経済ネットワークが出来上がっている形にしたいと考えていた。
当然、アメリカはこの動きに敏感になり、CIAのピーターはゴルゴに長倉の殺害を依頼。クレー射撃の際の暴発事故という形を取った。
(解説)
「東亜共同体」の一幕である。外務省の長倉局長が仕掛けようと思ったことが上手くいかずに、ストレス解消のために、クレー射撃へ行くと妻に行った時の台詞である。
役職が上がれば上がるほどストレスがたまる。一般従業員はできることが限られており、それはそれでストレスかもしれないが、管理職になると可能なことが増えてくる反面思い通りにならないことも増えてきて、一般従業員の比較にならないほどのストレスをため込むことになる。野心を持てば持つほど、出る杭は打たれる。思い通りにならないときは、趣味でストレスを発散させるしかない。頭を使う人は、むしろ体を使った方がいいだろう。普段やらないことをやるのが一番である。だから、せめて人に言える趣味を持とう。言えない趣味でもいいけれど。
[教訓]
〇経営者も仕事のことばかりではなく、ストレス発散のために趣味を持とう。