「(偽物が)知られたら、ガイヤールの名誉とロマネ・モン・リュイザンの伝統、そして誇りが一度に失われてしまいます!」
「その偽ワインを作ったのは誰なんだ・・・?」
「そ、それは・・・わ・・・私です・・・」
「自分で偽ワインを作って、名誉と伝統と、誇りか・・・」
「誇りは気高いが、過剰になれば傲慢だ・・・それは苦々しいだけだ・・・」
(ストーリー)
あるオークションで日本人が高値でワインを落札した。しかし実はその出品者は偽ってワインを出品した。1800年ものだといって出品したが、実は1905年ものであった。まあ、そうは言っても日本人にワインの味などわかるまいと高をくくっていた。
その出品者は、ロマネ・モン・リュイザンのオーナー、ジャン・シャルル・ガイヤールであるが、以前アラブの王族にオークションで偽物を売りつけ、アラブの王様はガイヤールに怒鳴り込んだ。そして、1800年物の味を知っているのかと言って突っぱねたという。それを今回競り落としたヤナギタ氏にアドバイスしてくれる人がいた。
ヤナギタ氏は、ソムリエを招待して飲んでもらうことになっていたという。そこのガイヤールも呼ぶ企画であった。ガイヤールはその企画を知り、フランスのNo.1ソムリエ、ルイ・ブーペも将来されていることを知る。そうすれば偽物を出品したこともバレる。そこでガイヤールは、ゴルゴにそのワインの瓶を狙撃してもらうことにした。
(解説)
「誇り高き葡萄酒」の一幕である。オークション会場に偽物を出して、それがバレてしまうとまずい。そこで瓶をゴルゴに狙撃してもらうためにお願いするときのガイヤールとゴルゴの会話である。それで1800年もののワインをゴルゴに飲ませてみたら、ゴルゴは「苦い」と言い、「東洋人に真のワインの味がわかるか!」と思うのであるが、まあ、これを傲慢だといっている。ゴルゴは実はワインの味が苦いといったわけではないのだろう。それにゴルゴにとっては何年物だろうが、だから何だ、そんな物に価値があるかと思っているに違いない。
名誉だの、誇りだの、伝統だのといって高値を付けて、それで喜んでいる奴が多すぎる。煽っている方もだが、煽られている方も気づくべきなのだが、むしろ煽られている方の質が低いからそうなる。本物はそんな形には見向きもしない。
そして、誇りも過剰になれば傲慢に変わる。経営者も心得ておきたい戒めである。
[教訓]
〇誇りも過剰になれば傲慢。そうなると顧客離れを起こす可能性もある。