「しかし、あなたにとっては、なまじゴルゴ13について知識のあったコトが・・・災いしたようだ・・・私のように何の知識もない者なら彼についての資料を徹底的に調べ上げたものを・・・」
(ストーリー)
ヨーロッパには各国の議会の他、国境を跨い、欧州議会が存在する。さて、そんな中、1989年11月9日に東西ベルリンの壁が崩壊した。1989年5月にハンガリーはオーストリアの国境に張り巡らせていた高圧電線の撤去に踏み切り、東ドイツ国民がハンガリー経由で西ドイツに出国。この流れを止められないと判断したソ連と東ドイツが、壁を取り除いたのであった。
当然喜ばしいことではあったのだが、ドイツの再統一を脅威と思う者もいた。コングロマリットの総帥ベルマン、西ドイツ実業界の最高権力者を消さなければならないと、ルネ・グールトは考えた。そこでゴルゴに依頼した。ナチのエリート養成学校で育ち、右寄りな発言が目立つため脅威だと考えたためだ。
グールトはベルマンにゴルゴが命を狙っている情報を流した。実は、ベルマンはゴルゴに仕事を依頼したことがあって、命を狙われているならば、もはや観念するしかないとあきらめた。同時にベルマンの殺害をフランツ・ヨーゼフ・オットー・フォン・ハプスブルク・リンデンバウムが依頼したが、同時に仕事の依頼は受けないと拒絶。
西ドイツにいたベルマンはベルリンの壊れた壁付近に車を停車していたところ、ゴルゴに東側から射殺された。SPがゴルゴに向けて射撃。ゴルゴは腕を負傷したため、誰かがゴルゴ狙撃の情報を漏らしたと判断。リンデンバウムをグールトの下にやり、グールトはゴルゴの狙撃を自らベルマンに密告したことを告げ、それを確認した後で、ゴルゴに射殺された。
(解説)
「ドイツはひとつ」の一幕である。ベルマンの狙撃を誰が密告したのか、リンデンバウムにグールトの密告を確認させたときのリンデンバウムの台詞である。
なまじ知識があると、それほど調査をせずに事業を始めてしまうこともある。全く知らなければ一から、しかも徹底的に調査することもある。普通は、何も知らないよりも何か知っていることをやった方がいいに決まっているが、中途半端にしか知らないのならば、全く知らない方が油断がなくていいということもある。
[教訓]
〇中途半端にしか知らないのであれば、かえって何も知らない方が、慎重になってよいこともある。そのため、十分に経験も積み、よくその分野を知ってはいるが、もう一度基礎から調べ直すくらいの慎重さを持ちながら始めるのが良い。